ヴィーヴァ・システムズ【VEEV】製薬業界向けクラウドCRM・コンテンツ管理SaaSの成長企業

Veeva Systems
Veeva Systems, Inc.【NYSE:VEEV】
ヴィーヴァ・システムズはライフサイエンス業界に特化したクラウドベースのアプリケーションソフトウェアのリーディングプロバイダ。

製薬業界特化型クラウドCRMから徐々に領域を拡大

Veeva-Systems-Revenue

堅調な売上推移で利益もしっかり伸びており、利益率も上昇の順調なSaaS企業がVeeva Systemsだ。

2007年にクラウドベースのソフトウェア企業として創業されたVeevaはライフサイエンス業界向けに開発されたクラウドベースのVeeva CRMを中核として成長してきた。

Veeva CRMはMRが必要なコンテンツを提供できるよう支援する製薬業界特化型クラウドCRM

MRとは?
Medical Representative:医療情報担当者

医師・薬剤師など医療従事者を訪問し(面談時間はせいぜい5-10分程度と言われている)、その短い面談時間で自社の医薬品を採用してもらうPRを目的にしつつ、自社の医薬品の有効性・安全性に関する情報を提供する人たち。

補足: MRといえば日本発のエムスリーのMR君の成長は有名だ。

Veeva CRMは、製薬業界に特化したクラウドベースのCRM(Customer Relationship Management)とCLM(Closed Loop Marketing)の機能が融合されたソリューションで、コンプライアンスを維持しながらMRの業務簡略化、医療従事者のマルチチャネルのKPIデータを収集し把握でき、医療従事者ごとに適切なマーケティング戦略の立案に役立てる。

Veeva-Systems-CRM

Veeva CRMでは業務報告の時短と、そのすべての接点履歴をもれなく把握することで、MRチームが医師ごとに適切なマーケティングデータや販促資材を顧客に提供することができるようになる。

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Veeva CRM MyInsights: 医療従事者との顧客関係強化につなげる

Veeva-Systems-Market-Expansion

2007年創業当初はVeeva CRMだけだった製品も、今やライフサイエンス領域で広くサービスを拡張。

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CRM以外の売上構成比率が2016年度は20%だったのに対し、2018年度は40%以上になっている(2020年度は50%以上を目標)。クラウドパートナーではAWS(Amazon Web Service)を選定。

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製薬企業向けコンテンツ管理プラットフォーム・アプリケーションVeeva Vault

Veeva-Systems-Vault

CRM依存脱却のためのキー製品がVeeva Vaultで、製薬企業特化の初のクラウドベース・コンテンツ管理システム。

Veeva Vaultは、規制、臨床、品質、医療、営業向けのライフサイエンス業界特化アプリケーションで、規制文書の効率的管理、臨床試験・治験業務・臨床データ・規制当局のやり取りや申請書類などコンテンツ管理プラットフォームとアプリケーションを提供。

サブスクリプションベースのSaaSとして常に最新で、IQ/OQ(適格性評価)を実施したのちにリリースしているため、インストールやアップデートの管理コストを削減。

また、Veevaは2015年に、ライフサイエンス業界向けにコンテンツ・コンプライアンスおよび商業デジタルコンテンツ管理ソリューションを提供する企業Zinc(ジンク・アヘッド)を買収し、Vault PromoMatsに統合。

Vault-PromoMats

ヘルスケアコンテンツの規制リスクを抑制し、コンテンツの作成から配布・回収までを効率化する販促資材コンテンツ管理の容易化で優位なポジションに。

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Veeva Vaultのライフサイエンス業界向けアプリケーション間には高い相互運用性があり、それによってクロスセルが拡大。統合的なスイート戦略がうまくいっている。

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Veeva-Systems-Vault-cohort

コホートでみても規制、臨床、品質、営業など全領域の強さを見てもVaultは今のところ順調。

Veeva-Systems-Customers

顧客企業はファイザーやノバルティス、メルク、グラクソ・スミスクライン、ギリアド、アムジェンなど世界最大級の製薬企業から新興バイオテクノロジーまで、小規模企業から大企業までそれぞれの規模に適したソリューションを提供できている。

Veeva-Partner-Ecosystem

プラットフォームとしてパートナー企業とエコシステムを形成。

製薬業界では特許切れによる売上減少や競争激化、規制強化、薬価上昇に対する圧力の高まりなど、営業・マーケティング領域でのコスト削減や効率化が求められており、そのような時代にあったVeevaのようなソリューション提供SaaS企業がどこまで成長できるか興味深い。

ちなみにクラウド/SaaSの代表的企業であるセールスフォースの買収候補がリークされた際は、このVeevaもターゲットとして挙げられていた。

Salesforce.com, inc.【NYSE:CRM】 セールスフォースは1999年の創立以来、従来のデスクトップCRM(顧客管理...

そもそもVeeva創業者のPeter Gassner CEOはSalesforce出身だ。

Salesforceでクラウドの波をダイレクトに体感したPeter Gassner CEOが「クラウドソフトウェアがクラウド革新の次の波になる」と2007年にVeevaを設立し、ここまで急成長を遂げてきた。

そしてVeevaはセールスフォースと最も深い関係にある。

ライフサイエンス業界向けのVeevaのCommercial SuiteのコアであるVeeva CRMはSalesforce1 Platform上に構築されており、セールスフォースはVeevaにとって重要なクラウドインフラとなっている。
そのため戦略的提携の期間も長い(2025年までとなっているがおそらく延長されるだろう)。

Veeva Systemsの最新の四半期決算データ

Veeva Systemsの年次業績推移グラフ

(2018年度はTTM)

営業利益率もグロスマージンも着実に上昇。

グローバル製薬企業などが主要顧客のVeevaは顧客あたり売上高がSaaSの中でも突出しており、非常に効率の良い経営ができている。

既存顧客に対するカスタマーサクセスに継続的にフォーカスすることで自然とクロスセル・アップセルが実現できるSaaSの理想形の1つといえるだろう。

2020年には10億ドル以上の売上高を目標としている。(年平均20%のサブスクリプション収入の上昇で達成)

Veeva-Systems-Operating-model

Veeva Systemsの株価

マーク・ファーバーが割高な銘柄だと2014年の空売り推奨銘柄にVeevaを挙げていたが、実際期待先行でIPO時から株価が割高で2014年から2015年にかけて株価はパッとしなかった。業績は悪くなかったので次第に株価も反応しはじめ2016年から株価は立ち上がり、ようやく新高値をとってきた。

ヴィーバ・システムズの決算を時系列でまとめる

Veeva Systems ’19 Q4決算> 2019/2/26
EPS(Non-GAAP) $0.45 予想 +$0.05
売上 $232.3M (+24.9% Y/Y) 予想 +$5.15M
サブスク売上ベースリテンションレート 122%

Veeva Systems ’19 Q3決算> 2018/11/28
EPS $0.45 予想 +$0.07
売上 $224.73M (+27.0% Y/Y) 予想 +$8.68M

顧客の製薬企業におけるプレゼンスが強すぎて営業利益率がさらに拡大。

SaaSの中でも1社あたりの売上高が大きいし、営業効率が良い。

<Q4ガイダンス>
売上 $226M~$227M (予: $221.88M)
EPS $0.40 (予: $0.37)

<FY20ガイダンス>
売上 $1B (予: $997.63)

Veeva Systems ’19 Q2決算> 2018/8/23
EPS $0.39 予想 +$0.05
売上 $209.61M (+24.9% Y/Y) 予想 +$6.14M

Q3ガイダンス
売上 $215M~$216M (コンセンサス: $210.62M)
EPS $0.38 (同: $0.35)

FY19ガイダンス
売上 $840M~$843M (コンセンサス: $829.38M)
EPS $1.47~$1.48 (同: $1.37)

Veeva Systems ’19 Q1決算> 2018/5/24
EPS $0.33 予想 +$0.02
売上 $195.54M (+22.4% Y/Y) 予想 +$6.58M

ライフサイエンス業界に特化したデータウェアハウス「Veeva Nitro」を提供するなどますますバーティカルSaaSとして垂直統合的に領域を拡げている。

Veeva Systems ’18 Q4決算> 2018/2/27
EPS $0.23 予想 +$0.02
売上 $184.92M (+23.2% Y/Y) 予想 +$4.95M