- マクドナルドはたびたび高級路線で失敗してきた
- マクドナルドが高級バーガーに再挑戦している
- タッチパネルによる省人化と旅行客対応能力の拡大
- タッチパネルで自分好みにハンバーガーをカスタマイズ可能
- 提供時間の早さと味を両立させることに苦戦するマクドナルドに新たな武器
マクドナルドはたびたび高級路線で失敗してきた
2008年に日本に上陸していたクォーターパウンダーの販売が2017年4月4日に終了した。
理由は日本マクドナルド史上最高値の500円台バーガーが、中途半端なポジションだったからではないだろうか?
アンガスビーフなどをつかったシェイクシャックやフレッシュネスバーガーなどバーガーショップの多様化が進む中で、マクドナルドはポジショニングに迷走していた時期があった。
アメリカのコンシューマー・レポートでも一番おいしくないハンバーガーに選ばれてしまったマクドナルドのイメージで高級化路線というのは客層からいって難しい。
高層マンションで1ルームの物件と4LDKの物件が混在していたら最終的に住人層のギャップ(突然修繕積立金の増加が必要となった時の許容度を考えてみてほしい)で管理組合でもめる将来が見えるように、100円バーガーを売りながら1000円バーガーを売ろうと思うとそれなりの工夫が必要となる。
マクドナルドが高級バーガーに再挑戦している
そんなマクドナルドだが、2015年にマクドナルド英国法人(McDonald’s UK)が、ミシュランガイド星つきレストランで働いた経験のあるシェフらが開発した、シグネチャーコレクション(The Signature Collection)と銘打ったプレミアムバーガーを、英国のマクドナルド28店舗でテストしていた。
そこで成果が出たため、じっくりと世界各地で展開中だ。
シグネチャーコレクションのバーガーは、アンガスビーフや、英国だったら英国産・アイルランド産と品質の高いビーフ、従来のぺったんこなハンバーガーとは違うふわふわのパティを使用している。調味料もハラペーニョのスライス、ナチュラルチェダーチーズなど従来のケチャップとマスタードのようなコモディティ化した味付けとは異なる。
タッチパネルによる省人化と旅行客対応能力の拡大
デジタルキオスクとよばれるタッチパネルをイギリス、オーストラリア、中国、香港、シンガポール、韓国、日本など次々と導入している。
タッチパネルを操作するだけで注文から決済まで全て行うことができるので、言葉が通じない旅行客なども安心して利用することが可能だ。
タッチパネルで自分好みにハンバーガーをカスタマイズ可能
また、シグネチャークラフテッド(Signature Crafted)という具材を自分好みにカスタマイズできるメニュー(チポトレメキシカングリルもそこに強みがある)が人気だが、店員に注文するのがためらわれる複雑な注文にはタッチパネル導入店舗は強みがあるかもしれない。
迷ったりして後ろのレジ待ち客のプレッシャーに負けて妥協する注文をすることもなく、店員に気を使うこともなく好みのカスタマイズが可能だ。
注文してから調理してくれるプレミアムホームメイドバーガー(Create Your Taste)として人気が高い。
提供時間の早さと味を両立させることに苦戦するマクドナルドに新たな武器
だが、ドライブスルー客など早さを重視している客との相性は悪い。
たとえば、米国では2018年半ばまでに全米でクォーターパウンダーに生の牛肉を使用し、注文してから作るという方針を発表したが、早さと旨さの両立には苦戦しているようだ。
解決策はSTARBUCKSが導入しているようなMobile Order&Pay(モバイルオーダーアンドペイ)だろうが、これもマクドナルドも出遅れたものの急速に導入を急いでいる。
Mobile Order&Payはスマートフォンアプリで、注文・決済を事前に済ませておくことで混雑時のレジ行列に並ぶことなく商品を受け取れるサービスで、レジの前で急かされるように注文しなければいけなかった従来と違い、じっくりと注文を決めることができるので普及するだろう。
日本マクドナルドも一度は米国法人から売り払われそうになっていたものの、急速に売上を回復し復活した。
まだまだマクドナルドのブランド力は衰えていないようだ。
一部の国ではビールの飲めるマクドナルドが登場するなど、興味深いテストが続けられている。