Talend S.A.【NASDAQ:TLND】
Talendはビッグデータ時代の裏方としてデータ統合プラットフォームを提供するオープンソースベンダー。
2005年にフランスで創業し、世界初のオープンソースETL(データ統合)ツールを提供。データ統合市場におけるディスラプト企業として注目を集めた。
現在は、大企業レベルのスケールも可能なデータ統合連携基盤として、企業が保有するデータ活用のライフサイクル(データ読み取り、準備、加工、ターゲットへ格納)を包括的にサポートするサービスを拡張し成長している。
なお、Talendはオープン・コア・ビジネスモデルを採用している。
Open Core Business Model
企業のコア(中核)ソフトウエアをオープンソースとして無料バージョンで提供し、拡張機能やサポート部分など付加価値部分をアドオンで提供するビジネスモデル。
Talendのユーザーは企業だけではなく膨大なデータ量のパナマ文書をICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)がTalendを使用しデータを加工することで解読できたという。
Telendはビッグデータ時代のツルハシ企業
決算の投資家向け収支報告で言及された「ビッグデータ」と「AI」の推移を見るとビッグデータにまだ勢いがある。
Source: https://t.co/Dh4B9xKjYw
なるほど…ビッグデータのデータ加工・統合プラットフォームのオープンソース企業のTalendが急成長するわけだ。https://t.co/UBkaEsEems pic.twitter.com/MnzsfGBqOb
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) May 12, 2018
データが現代の石油と呼ばれるなら、Talendは現代の石油精製ツールを提供する業者だろうか。
データ駆動型企業に転換することで業績を向上させてきた企業も増えており、Talendは企業がデータを活用するためのオープンでスケーラブルなデータ統合ソフトウェアを提供。
Talendの顧客企業はトヨタやドミノピザ、シティバンクなど。2017年後半からYahoo!JapanもTalendを採用している。
たとえばグルーポンはTalendを使用することで1テラバイトの顧客データをリアルタイムで分析し、トレンドの発生を即座に発見することができるようになったという。
年間10万ドル以上のボリュームでサブスクリプション契約している大企業数の伸びも安定的。
こういった大企業の契約がTalendのサブスクリプション収入の約3分の2を占めている。
レガシー企業をディスラプトするTalendのオープンコア戦略
データ統合市場の既存レガシー企業のような集中型ではなく、Talendは分散型でオープンなアーキテクチャーを採用し、オープンソースでJavaアプリケーションによるデータのパイプライン処理を提供しディスラプトしてきた。
独占的で排他的なアプローチをとり融通の利かない集中型のモノリシックな企業のこと。(悪口ではない)
ディスラプト側の新興企業群がよく例として挙げる企業としては、Oracle、SAP、IBMなどの従来の巨大ITソリューション・ベンダー。
もちろんレガシー企業も買収などによってターンアラウンド中ではある。
Talendはその後、より広範囲なデータ統合プラットフォーム「Talend Data Fabric」を提供し成長している。
データが爆発的に増加する時代。2年ごとに2倍にデータが増加するという(Source: International Data Corporation)
増え続けるも活用しにくい企業保有データに対し、Talendはデータの品質を改善し、”使えるデータ”へのアクセスを簡素化。
Talendはオンプレミス、クラウド、ハイブリッドクラウドを問わず、データ、業務アプリケーション、HadoopやSpark、データレイク等をつなげ一元化する、ビッグデータ、セルフサービスのデータ準備、機械学習、データ統合プラットフォームを提供。
オープンソースETL(データ統合)ツールを中心に、データ品質、ESB、MDM、セルフサービスデータ準備、リアルタイムデータ統合など幅広く統合的なデータソリューションプラットフォームに成長。
一貫したビューで単一のGUIツールを用いてコーディング不要で開発できる使いやすさ、Javaネイティブコード生成によるビッグデータ処理の高速化、大企業レベルのスケーラビリティ、オープンソースコミュニティに支えられた最新テクノロジーでクラウドデータウェアハウス・データレイクを迅速に構築が可能…と、ビッグデータ導入プロジェクト期間の短縮ができると評価されている。
Talendが無料で提供しているデータ統合ツールはオープンソースであり、何千人もの開発者やApacheエコシステムとつながりを活用でき、市場の変化に応じた柔軟性をもちベンダーロックインのリスクを排除することができるという。
(オープンコア・ビジネスモデルは一歩間違うとロックイン感はでてしまうのでオープンソースの魅力が失われないようベンダーはバランスをとる必要があるだろう。)
オープンソースベンダーはどうやって儲けているのか?という点ではLinuxディストリビューションのサポート部分で利益を上げ続けているレッドハットが参考になるだろう。
Talendはすでに数百万ダウンロードもされており、開発者が必要とする機能を十分に備えるオープンソースのETLツール「Talend Open Studio」が中核。
その上で、企業が必要とする付加価値をつけた商用版である「Talend Data Management Platform」や「Talend Big Data Platform」を有料のサブスクリプションモデルで提供。Talendによるとコストは競合製品の5分の1で5倍早いという。
データが増え続ける中でデータ量に応じた従業課金となると不安になってしまうが、Talendの有償サブスクリプションは開発者数ベースのため、データ量やサーバー台数がどれだけ増えても費用に影響されない。
商用版を本格的に導入する前にオープンソースによって無料で無期限に試すことができ十分な時間をかけて検討し、さらに購入後も機能に対する習熟が活かせてすぐ使えるため、導入リスクを軽減することができる点がオープン・コア・モデルのメリットだろうか。
部分的に無料で提供し、有料顧客に転換する見込み客を獲得するビジネスモデルという意味ではフリーミアムモデルもそうだ。
また、伸びているのはクラウドベースのTalend Cloudだ。
統合市場は拡大している。最近もセールスフォースがAPIベースの統合プラットフォームのMulesoftを買収している。
データ統合における競合はInformaticaやIBMだ。
調査会社ガートナーの格付けでも、Talendがデータ統合・データ品質のマーケットリーダーとしてオープンソースベンダーとしては唯一選ばれている
最近もインフォマティカやIBMから顧客を奪っている。
レガシー企業のデータ統合ソリューションに対し、Talendはオープン戦略で、Sparkの処理性能、Hadoop、NoSQL、クラウドを活用し、複雑な統合を簡素化・迅速化。
Talendが形成するエコシステムとしては1000近いコネクタやコンポーネントを使って幅広いデータソースからデータを収集することができ、SparkやMapReduceのネイティブコードの生成が可能で、Hadoopディストリビューション(ClouderaやHortonworks、MapR)にデプロイでき、オンプレからAWS、Azure、Google Cloudに対応。
Talendの業績推移グラフ
*2018年度はQ1時点のTTM
サブスクリプション比率が高まっており、オープンコア戦略の良いところが出ている。
アップセルがうまくいっている。
セールス&マーケティングコストを調整してきたことでフリーキャッシュフローマージンはプラスとなった。この調子でFCFがプラスで売上成長率が40%前後ならば、SaaSの40%ルールも満たすことができそうだ。
Talendの株価
Talendの決算を時系列でまとめる
<Talend ’18 Q1決算> 2018/5/10
EPS -$0.18 in-line
売上 $46.81M (+42.4% Y/Y) 予想 +$1.21M
<Q2ガイダンス>
売上 $48.8M~$49.8M (コンセンサス $48.93M)
EPS -$0.14~-$0.11 (コンセンサス -$0.12)
<FY18ガイダンス>
売上 $202.6M~$204.6M (コンセンサス $201.51M)
EPS -$0.49~-$0.43 (コンセンサス -$0.46)
Talend決算 (NASDAQ:TLND) Q1
EPS -$0.18 in-line
売上 $46.81M (+42.4% Y/Y) 予想 +$1.21M<解説>
ビッグデータ時代の裏方。データ統合プラットフォームとしてレガシー企業をディスラプトしながら急成長中のオープンソース・ベンダー。https://t.co/QcSTaA76fO pic.twitter.com/MydiwnWj7t— 米国株 決算マン (@KessanMan) May 12, 2018