Pure Storage, Inc.【NYSE:PSTG】
ピュア・ストレージはオールフラッシュストレージ専業のリーディングカンパニー。
<ピュア・ストレージとは?>
- 2009年に創業し、フラッシュストレージの成長とともに成長。
- レガシーなデータストレージ企業をディスラプトする側(主にハイエンド需要)
- オールフラッシュで手間いらずに簡素化・高速化
- SaaS的な考え方でストレージを提供するビジネスモデル(ストレージのリプレースに煩わされずに済む)で成長
- サブスクリプション・モデルのストレージサービス(ES2)も始めた
- 競合との差別化ポイントはデータ圧縮やデータ重複排除といったソフトウェア
- データ格納だけでなくデータ利活用するためのソリューションを提供しはじめた
1/2ペタバイトをフラッシュストレージに置き換えると年間100万ドル節約できるとピュア・ストレージはアピールしている。
データストレージの新しい所有モデルを提案したピュア・ストレージ
レガシーなストレージシステムは、数年使用したストレージ(データを記録する機器、個人でもHDDやSSDにデータを保存していることだろう)を買い直し、その度にチューニングしたりデータ移行したりとコストがかかる上に、データ損失などのリスクがあった。
そこで、ピュア・ストレージはEvergreen Storage(エバーグリーンストレージ: 常に最新のストレージ)というSaaSのような所有モデルを提案し、ソフトウェアアップグレードはもちろんハードウェアの3年ごとの無償アップグレードもチューニング不要で提供し、ダウンタイム無しのデータ移行も可能にしている。
インラインでのデータ圧縮技術・重複排除機能(SSDの特性を活かした処理でストレージに記録されるデータ量を節約できる)といったソフトウェアだけでなく、こういった手間いらずで効率的なサービス提供力も差別化要因となり、既存顧客も満足度が高く積極的に利用を拡大している。
ストレージ業界においてオールフラッシュアレイは高いパフォーマンスが求められるハイエンド市場で成長。
パブリッククラウドの台頭でオンプレミスのストレージ市場は縮小、レガシーなストレージベンダーは対応を迫られ、XtremIO(2012年にEMCが買収)、DSSD(2014年にEMCが買収)、ニンブル ストレージ(HPEが2017年に買収)など新興フラッシュストレージベンダーがレガシーなストレージベンダーに買収されてきた。
すでにデータセンターでもSSD/フラッシュがデフォルトの選択肢となってきており、ピュア・ストレージはオールフラッシュストレージのパイオニアとして市場を切り開き、従来のサイロ化されたストレージシステムを単一の共有ストレージインフラで置き換えている。
レガシーなストレージベンダーをディスラプトしてきた独立系オールフラッシュストレージベンダーのピュア・ストレージの強みは変化を前提としたアーキテクチャ。
HDD⇒ハイブリッド⇒SSD、そして次世代SSDの接続規格であるNVMe(Non-Volatile Memory Express)が登場するなど、変化し続けるストレージ業界だが、さっそくピュア・ストレージは100%NVMeを実現。
新しいテクノロジーが出てくる前提で記憶メディア問わず最新のテクノロジーが使えるのがピュア・ストレージのデータセントリックアーキテクチャで、レガシーベンダーは数十年前のソフトウェアスタックをフラッシュストレージに使っていると主張している。
ピュア・ストレージはフラッシュストレージのパイオニアとしてガートナー調査によると5年連続市場リーダーポジション。
競合はNetApp、Dell EMC、HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)など。
ピュア・ストレージの業績推移と最新データ
ピュア・ストレージ決算
Pure Storage (NYSE:PSTG) Q2
EPS $0.01 予想 +$0.07
売上 $308.9M (+37.6% Y/Y) 予想 +$7.6M株価+14%
従来のデータストレージ企業と違うアプローチでSaaS的なビジネスモデルのオールフラッシュベンダー。https://t.co/cE8BNFp1eWhttps://t.co/05FWV4oovT pic.twitter.com/umDSclfsQ6
— 米国株 決算マン (@KessanMan) August 22, 2018
TAM(Total Addressable Market、つまり市場規模・機会)は350億ドルと推定。
主な顧客ターゲットはクラウド・SaaS企業のトップ1000に照準を合わせている(SaaSのTOP20企業のうち35%がすでにピュア・ストレージの顧客)
また、Grobal 2000(フォーブス誌による世界の有力企業2000社ランキング)の20%以上、フォーチュン500企業のうち35%以上を顧客としている。
データ利活用のビジネス機会の拡大としてAI、機械学習、IoT、リアルタイムアナリティクス、ログ分析・セキュリティ、シミュレーションなど次世代のユースケースでプレゼンスを発揮しようとしているピュア・ストレージ。
IaaS, SaaS, PaaS市場は5年平均22%成長で、ピュア・ストレージがビジネス機会とみるAIストレージ市場は5年平均78%成長。
ピュア・ストレージは特にAI・マシンラーニング用途の伸びに期待しており、NVIDIAと共同開発したAI構築に特化した構成済みシステムのAIRIを2018年に発表している。
ピュア・ストレージのビッグデータ活用に強みのあるオールフラッシュストレージ「FlashBlade」とエヌビディアのAIアプライアンス「DGX-1」を1ラックに統合し、AIインフラの省スペース化と導入期間短縮を実現。(より小さいサイズのAIRI miniも登場)
低レイテンシを求めるビジネスアプリケーション高速化の製品として、FlashArrayを2012年に発売しピュア・ストレージの主力製品となっている。
そのFlashArrayを補完する製品として2016年に発表したFLASHBLADEも急成長(これは2017年8月時点の資料だが)。
FlashBladeは、ビッグデータ解析向きで高帯域・高スループットを重視したスケールアウト・アーキテクチャでAIの取り組みなどに採用されている(前述のAIRIのように)。
FlashBladeの発売にあらわれているように、ピュア・ストレージはデータ格納だけの会社ではなくデータ利活用を支援するデータプラットフォーム企業にシフトしている。
AIRIのようなNVIDIAと共同開発した統合インフラのように、各社プロダクトとの統合も活発。
ピュア・ストレージの特徴であるEvergreen Storage所有モデル(SaaS的のように継続的な改善・サポート)により、顧客の定着率・リピート率も高く、データ量が増えてTAMも伸びる基本的な追い風を受ける。
もともとSaaSに近い考え方のエバーグリーンストレージ所有モデルだが、完全にストレージ管理から解放するサブスクリプション・モデルのES2も登場。
ES2は実際に使用された容量(日割り)だけ課金されるので、使用していないストレージに対しての費用は発生せず、一般的なオーバープロビジョニング(SSDの一定領域を余剰領域として確保)率に比べて2倍のコスト効率が得られる(ピュアストレージ調べ)。
<ピュア・ストレージ(NYSE:PSTG)株価>
ピュアストレージの決算を時系列でまとめる
<Pure Storage ’19 Q2決算> 2018/8/22
EPS $0.01 予想 +$0.07
売上 $308.9M (+37.6% Y/Y) 予想 +$7.6M
マルチクラウド環境における非構造化データの管理に対する需要の高まりに対応するため、クラウドファーストのStorReduceの買収を発表し、そのデータ重複排除技術によって戦略を補強。