ポタッシュコープ(POT)- 世界最大の肥料企業

ポタッシュコープ 生産シェア

ポタッシュ・コーポレーション・オブ・サスカチュワン(Potash Corporation of Saskatchewan Inc.)、以下ポタッシュコープは世界最大のカリウム生産・備蓄量の肥料最大手であり、リン酸、窒素など化学肥料の三大成分となる資源を生産する世界的肥料企業。カナダを本拠とし、ニューヨーク証券取引所に上場。

2018年追記:
POT(ポタッシュ・コープ・オブ・サスカチュワン)は同業AGU(アグリウム)と合併し、合併後は世界最大の上場肥料会社であるニュートリエン(NYSE:NTR)となった。

ポタッシュコープ ⇒ ニュートリエン株価チャート

株価は主にカリウム・リン鉱石の価格の影響を受ける。

寡占状態のカリウム業界で最大手のポタッシュコープ

農産物の収穫増に不可欠な化学肥料であるカリウムはカナダとロシアだけで7割の生産を占めており、ポタッシュはそのカナダのサスカチュワン州に最大のカリウム鉱山を所有している。

世界最大(20%)のカリウム生産手であるポタッシュは同業のモザイク(MOS)とアグリウム(AGU)と共に北米勢として共同販売商社カンポテックス(Canpotex)で合弁で協調しグローバルに販路を敷いている。そのような合弁マーケティングを行うのは中国やインドなどの巨大なバイイングパワーに対抗するためであるが、カルテルに関して米国などで訴訟され罰金を払い和解した過去もある。

農作物の収穫量を増加させることで世界の胃袋を満たしてきた肥料であるが、化学肥料のカリウムとリン酸とチッソという三大成分のうちカリウム...

上記のページにあるように競合するウラルカリとベラルーシカリのカルテル崩壊のためにカリウムは2013年7月から低価格圧力が厳しい状況となった。

この一連のカルテル崩壊によってポタッシュコープも大きく影響を受けており、生産拠点閉鎖・操業休止、全従業員のうち2割の人員削減などで対応している。

ただしポタッシュコープは地政学的に優位性のある立地であり、ウクライナ情勢などでロシアに対する制裁や混乱などの供給不安はない。

リン鉱石やチッソに関しても本ページ上部のIR資料で紹介したようにポタッシュコープにとって少なくない売上高シェアを占めているが、チッソはカリやリン酸と違い生産に地理的な制約はなく、新しいプレイヤーの参入によって価格は高騰しにくい。リン鉱石は中国・モロッコ・米国で7割の生産が占められているが、中国は高関税、米国は禁輸措置をとっており供給不安により再度高騰してもおかしくはない。

ポタッシュの業績推移グラフ

ポタッシュは自社株買いや配当で株主還元に積極的だ。
しかし資源価格下落に耐えきれず2016年についに減配となった。

ポタッシュと買収

豪英系資源大手BHPビリトンがポタッシュコープに買収提案をしてきたのは2010年のことだったが、やはりカナダにとって重要な国策企業でもあるポタッシュは買収に応じることはなかった。

2015年にはいってからは逆にポタッシュ(POT)がドイツの肥料メーカー大手K+Sに対し買収提案をしたがおそらく失敗すると見られている。

というのもポタッシュがK+Sに買収提案するのは二度目で1997年の買収提案はドイツ規制当局により承認されることはなかったためだ。

ただでさえ北米勢に対してカードを持ちたい欧州勢にとって貴重なカリウム生産企業を手放すことはないでしょう。

ポタッシュコープが保有するカリ鉱山の埋蔵量は50年以上と長期のものであり、安定的なキャッシュフロー生産が可能です。またトン当たりの産出コストも他社よりも低いです。

産出トン当たりのコスト

北米という立地もさることながら、交渉先でもある中国最大の肥料会社であるSinofertに20%以上出資していたり、安定的な販路の確保もCanpotexも含めて盤石と見ます。またわずかながらカリウムが産出されるその他の地域イスラエルのICL、ヨルダンのAPC、チリのSQMなどに対する投資なども行い、資源ポートフォリオも強力。

しかし資源価格下落による経営の苦しさもあり、2016年夏に同業アグリウムとの対等合併が合意された。

同業肥料生産大手・関連種子農薬メーカー

モザイク(MOS)
―Mosaic Co
―アメリカの肥料企業
アグリウム(AGU)
―Agrium Inc.
―カナダの肥料企業
CFインダストリーズ・ホールディングス(CF)
―CF Industries Holdings, Inc.
―アメリカの窒素肥料会社
ウラルカリ
―Uralkali
―ロシアのカリウム生産大手
―中国政府系ファンドが12.5%出資
ベラルーシカリ
―Belaruskali
―ベラルーシ国営のカリウム生産企業
モンサント(MON)
―Monsanto Company
―GMO種子と農薬
デュポン(DD)
―E I Du Pont De Nemours And Co
―アグリビジネスの強化中。種子・農薬等
シンジェンタ(SYT)
―Syngenta AG
―スイスの種子・農薬メーカー
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)
―Archer Daniels Midland Company
―米穀物メジャー
ディア(DE)
―Deere
―米農業機械メーカー
アグコ(AGCO)
―AGCO Corporation
―米農業機械メーカー

Potash Corporation: http://www.potashcorp.com/

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みんなの投資分析とコメント

  1. 匿名投資家 より:

    競合のウラルカリは現時点で世界で最も低い産出コストで増産していますが
    ポタッシュコープも2008年に着工したロカンビル鉱山プロジェクトも来年には完了する見込みで同鉱山は低コストでのカリウム鉱石の産出が可能です。

    また、ピカデリー鉱山プロジェクトも進んでおり将来的にも現時点の市場シェア1位の生産能力の見込みは不動です。

    前述の競合のウラルカリは低価格競争を仕掛けた張本人ですが、そのウラルカリのCEOがインタビューに昨年「市場シェアは重要だが炭酸カリウムの価格下落は望んでいない」と答えており、最近の原油価格暴落につられて多少価格は下落したものの、これ以上の価格下落は可能性が低そうで(安価になったことで需要も増える)この高い配当金が減配されるリスクはほとんど無いように思います。ポタッシュコープは株主還元の優先順位を高く設定しているからです。

    ですが過去の同社の配当政策や競合肥料会社各社の動向をみると横並びの配当政策っぽいので、ここからの増配は資源価格を考えるとあまり期待できないとは思います。今でも十分な6%超えの配当利回りですから十分だと思います。

  2. 匿名投資家 より:

    関係ないですがグレンコアも暴落したし、資源関係全般売られまくる地合いなので注意ですね。

    ポタッシュコープはヘッジファンドがけっこう所有してる逆張りお気に入り銘柄っぽいのでどっかのHFが逝った場合ぶん投げされるかもしれませんし。魅力的に見えますが逆張りは難易度が高いですからねぇ。

  3. 匿名投資家 より:

    予想通りドイツK+Sへの買収提案を撤回しましたね。
    おかげで株価急騰です。

    中東マネー引き上げのグレンコア暴落の巻き添えで下がったところは短期的には買い場だったんですかね。資源はここまで下げたのでV字回復も難しそうですが…