ペプシコ(PepsiCo, Inc.)は、世界2位の食品・飲料企業でドリトスなどのスナックを中心とした食品部門とペプシコーラやトロピカーナなどの飲料部門で世界的に展開している。
ペプシコ株価チャート
米国の炭酸飲料の販売量が10年連続で減少するなど炭酸飲料人気のかげりで近年のペプシコーラは売上が鈍化しており、ペプシコ傘下で菓子メーカー世界最大手であるフリトレー社がペプシコの稼ぎ頭となって炭酸部門の減益を補う成長をしている。
ペプシコの飲料部門
全般的に売上が伸び悩んでおり収益性も菓子部門に比べると低い。
従来の炭酸飲料の伸びは鈍化しているが、非炭酸飲料は相対的に堅調。
フレーバーつき炭酸水や職人気質のクラフトソーダ分野は伸びており、ペプシコは消費者の需要の変化に敏感に対応している。
ペプシコーラシリーズなどの1894年以来の同社の看板メニュー以外に、
ゲータレード(Gatorade)
―スポーツ飲料で上位シェア
トロピカーナ(Tropicana)
―1998年にペプシコが買収したチルドジュース
マウンテンデュー(Mountain Dew)
―清涼飲料水
セブンアップ(7up)
―フィリップモリスから買収
リプトン(Lipton)
―ユニリーバ社と折半合弁会社ペプシ・リプトン・インターナショナル
―紅茶飲料
アクアフィーナ(AQUAFINA)
―ボトル入りウォーター
―炭酸飲料離れした消費者はボトル入りウォーターに
―宅配網も強化するシェア1位のネスレが競合筆頭
▼クラフトソーダ市場に続々と商品を投入
キャレブズ・コーラ(Caleb’s Kola)
マウンテンデュー・デューシャイン(Mountain Dew DEWshine)
スタボーン・ソーダ(Stubborn Soda)
サトウキビなどの天然素材を使用し糖分の少ない健康志向のクラフトソーダや、プレミアムコーラとして新しい需要を開拓している。
また、イスラエルのソーダストリーム・インターナショナルと提携し、同社の家庭用炭酸飲料システムにペプシコのフレーバーを自家製炭酸水に加えられるようになる。
食品・スナック菓子部門
世界最大のスナックメーカー、フリトレーがペプシコの菓子部門で、高い営業利益率があり北米で高いシェアがある。
1965年にペプシコーラ社とフリトレーが合併して現在のペプシコが誕生した。
フリトレー(Frito-Lay)はFrito社とRay社が合併してできたものでそれぞれの名を冠するスナックは今も同社の主力商品だ。
レイズ(Lay’s)
―1932年生まれのアメリカで一番売れているポテトチップス
ドリトス(Doritos)
―トルティーヤチップスで全米No.1
チートス(Cheetos)
―1953年生まれのチーズスナック
シリアル部門
クエーカー・フーズ(Quaker)
―朝食シリアルやグラノーラバーなどを展開。
―百数十年の歴史あるブランド
―2001年にペプシコと合併
ペプシコの業績推移グラフ
最新の業績データや決算については以下のペプシコ決算まとめページで四半期ごとに随時更新している。
売上の大半を海外で稼ぐペプシコ
ペプシコは、軍需品に指定され早期に海外に販路を築いたコカコーラ社と比べると出遅れてはいるが、それでも半分以上を米国外で稼ぐグローバル企業だ。
ロシア:
その昔、ペプシコーラはソ連と契約した最初のアメリカ製品だったが、2008年にロシア最大の果汁飲料メーカーであるレベディアンスキー(Lebedyansky)の買収、2011年にはロシアの乳製品・果汁清涼飲料水で最大のシェアを持つウィム・ビル・ダン・フーズ(Wimm-Bill-Dann Foods)を約50億ドルで買収したことでロシアのシェアトップとなり、ロシアはペプシコにとって重要な市場となっている。それだけにロシアの制裁の影響(ルーブル安)は大きかった。
日本:
ペプシコーラをサントリーが販売、トロピカーナをキリンビバレッジとの合弁会社で販売している。
そして何より国内シェア圧倒的トップのカルビーと2009年に提携し、ペプシコのジャパンフリトレーと現金の代わりにカルビーにペプシコが20%出資した。カルビーは北米でフリトレーの販売ルートでじゃがビーなどの売上増を目指している。
中国:
ポテトチップスのLay’sを販売しているが、その原材料のじゃがいもの安定的調達のために中国国内最大のジャガイモ農園を自社運営している。
中国の即席麺最大手の康師博にペプシコは飲料部門を売却し、康師博飲品の株式の一部を取得し戦略的提携関係となった。
メキシコ:
2019年までにメキシコで50億ドル投資
2014年に成立したメキシコの肥満税(炭酸飲料など加糖飲料に税金)はペプシコにとって重要な市場での打撃は大きい。
インド:
2020年までにインドで55億ドルを投資
ペプシコは1990年にインド市場に参入した。
現地の消費者にあわせた研究開発の拡充、販売・流通網の拡大と生産能力の向上、また政治的要因でこのような巨額の投資をしている。
高まるペプシコの分社化要求
ペプシコは1997年に、傘下におさめていたピザハット、ケンタッキーフライドチキン、タコベルなどのレストラン事業をヤム・ブランズ(YUM)としてスピンオフしている。
そして現在は、同社の好調の菓子部門フリトレーを分社化するようアクティビストから要求されている。分社化したことによる広告宣伝費の効率的運用やコスト削減でシナジーを上回るという見方だ。
経営陣は、飲料部門と食品部門の両立は、調達とサプライチェーンの重複でスケールメリット面で恩恵を受けていると分社に否定的のままだ。
競合企業や関連会社
ザ コカ・コーラ カンパニー(KO)
―The Coca-Cola Company
―コカコーラ戦争の戦友
ドクターペッパー・スナップル・グループ(DPS)
―Dr Pepper Snapple Group Inc.
―米3番手の炭酸飲料会社
ネスレ
―Nestle
―スイスに本社をおく世界最大の食品・飲料会社
モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)
―Mondelez International Inc
―クラフトフーズから分離した世界最大規模の菓子メーカー
ユニリーバ(UL)
―Unilever
―リプトンでは合弁会社を設立し提携関係
ナショナル・ビバレッジ(National Beverage)
―ラクロワ(LaCroix)フレーバーつき炭酸水
―ペプシコが参入しようとしている炭酸水では新興の競合も多い
みんなの投資分析とコメント
ペプシコの決算はかなり良かったですね。
オーガニック版ゲータレード投入や砂糖使用量の削減宣言(2025年までの目標)といい世の中の流れに適用する動きを見せていて良いのではないかと思います。
節水目標も達成してますし、砂糖カロリー削減宣言もきっちり達成してくるでしょう。