New Relic, Inc.【NYSE:NEWR】
ニューレリックはクラウド型アプリケーション監視・パフォーマンス分析プラットフォーム。
SaaS(Software as a Service)モデルでソフトウェア開発全般を視覚化し、リアルタイムでモニター・データ分析ができ、全ての領域のデータを管理するプラットフォームサービスを提供している。
パフォーマンスの低下・ユーザー満足度の基準値が下回った場合に自動的に検知しアラート通知してくれて、問題の原因をインフラからアプリのコードレベルまで当たりを絞り込んでくれるのが特徴。
計らなければ改善しない。
アプリケーション監視はサービスの安定性や信頼性、ユーザー満足度をはかる上で重要性が増してきており、ビジネスに与えるインパクトや問題対応コストをふまえると、問題を検知する仕組み、問題の原因を特定する仕組みの導入は不可避だ。
開発者がアプリケーションのパフォーマンス(処理時間、スループット、エラー率、ユーザー満足度)を把握するためにNew Relicはアプリケーションパフォーマンス監視(ARM: Application Performance Monitoring)製品を提供しており、シェアも高い。
ニューレリックの原点であり中核製品であるNew Relic APM
レスポンスタイムなどアプリケーションのパフォーマンスの統計データを見やすく可視化。
アプリケーションのパフォーマンスのボトルネック箇所をコードレベル(Java, .NET, Ruby, Python, PHP, Node.js等)にまでピンポイントに分析でき、性能改善のための参考にできる。
顧客満足度に関しても、SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)のソリューションであるApdex(Application Performance Index: レスポンスタイムを基準にしたユーザー満足度スコア)で平均応答時間だけでは測りきれないユーザー満足度を測定できる。
APMだけでなくインフラからアプリケーションまでフルスタックで監視・可視化
New Relicは2008年創業時にリリースされたアプリケーションパフォーマンス監視(APM)製品からはじまった。
今もAPMが中核事業ではあるが、その後アプリケーションからインフラストラクチャ、ブラウザやモバイルアプリケーションに至るまで、アプリケーションに関するすべてのレイヤーをカバーする製品群を提供できるようになった。
ネイティブアプリ監視のNew Relic Mobile、フロントエンドにおけるユーザーエクスペリエンスモニタリングのNew Relic Browser、外形監視のNew Relic Synthetics、全体を俯瞰してデータ・パフォーマンス分析できるダッシュボードのNew Relic Insights、そして2015年に買収したサーバー監視サービスのOpsmatiによって補強したインフラ監視のNew Relic Infrastructure。
APMの市場規模に対し、周辺領域の市場規模は大きい。
New Relicの強みは、クラウドネイティブでソフトウェア開発に関する全てのデータを管理するプラットフォームであり、顧客の利便性を高めながらフロントエンドからインフラ監視までAPM周辺領域で製品をクロスセルしていけそうだ。
ということで、New Relic APM以外の製品について簡単に紹介していく。
New Relic Mobile: ネイティブアプリ監視
モバイルアプリ(iOS, Android)のパフォーマンス・障害分析。
アプリのバージョンごとに、インストール数や更新数、障害発生率を分析でき、リリース時やアップデート前後のパフォーマンスをリアルタイムに検知・分析。
アプリのクラッシュ時のユーザーの行動追跡もできる。
New Relic Browser: ユーザーのブラウザ上のパフォーマンス監視
サーバサイド処理時間や外部サービスに要するパフォーマンスなどユーザーのブラウザ上のパフォーマンス・問題領域の特定のためのモニタリング。
New Relic Synthetics: プロアクティブな監視のための自動化
外形監視/死活監視(ユーザーが問題に気づく前に問題を把握するためのWebやアプリが期待通りに動いているかの調査)ツール。
常に一定間隔で同じ環境からサービスやページにリクエストを送るため、死活はもちろんパフォーマンスの比較ができる。
New Relic Infrastructure: サーバー監視など
サーバ監視、クラウド・ミドルウェア監視、設定変更監視、IT資産管理製品。
Dockerなどのコンテナやマイクロサービスの監視・分析にも最適化されている。
New Relic Insights: パフォーマンス・データ分析のダッシュボードツール
New Relic APMなど複数の監視製品をまたがって収集したデータを利用できるため、ユーザー体験、アプリからインフラまで1つのビューで全体を俯瞰して分析ができ、各監視製品単体では確認できないより細かい分析もできる。
ニューレリックの見込みではInsightsはARMやInfrastructureに次ぐ収益源に育つ見込み。
また、マネージャー向けダッシュボード(ビジネスに関するリアルタイム分析やインサイトの取得)、アプリチーム向けダッシュボード、インフラ向けダッシュボードと用途別にダッシュボードを作成できる。
New Relic Insightsによって開発・運用・ビジネスインサイトにつながるデータを1つのダッシュボードに統合することで部門間の障壁を取り払い、ソフトウェアのボトルネック解消からユーザー体験、ビジネスの成功へとシームレスに結びつけることをサポートする。
DevOps時代の開発・運用チーム作りでは、新機能をリリースする開発(Development)とシステムの安定稼働が求められる運用(Operations)が一枚岩となって自律的なサービスの構築にシフトしており、システム管理者の役割としてSRE(Site Reliability Engineering)、自動化を前提としたシステムの構築が求められている。
New Relicのプラットフォームは開発者と運用部門を一つにするDevOpsのためのツールとして、さらに開発・運用チームだけではなくメンバー全員が共通のツールセットからデータドリブンな意思決定が行えるように情報の共有化と相互理解を促進する。
また、柔軟なアラート設定(一定期間のエラー継続、ユーザー満足度が下がっている場合のみ通知等)でプロアクティブな障害対応が可能で、データは定義する必要もなく自動的に収集され可視化。
SaaSの監視ツールとして競合はDatadog、Mackerel、scoutなどだろうか。領域を拡げているので競合も増えている。
IDaaSのOktaプラットフォームのデータによると急成長ビジネスAppリスト。
モニタリングSaaSのDatadogはNew Relicの競合。
Source: https://t.co/RpYGxa7ezj pic.twitter.com/enwt3cLI50
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) March 18, 2018
モニタリングSaaSの競合のDatadogも伸びているがNew RelicもOpsmati買収による弱点補強など戦略的対応が適切で力強く伸びている。
とはいえNew Relicもかなり伸びてる。
Source: https://t.co/LvpSeqWcqO pic.twitter.com/UpcfvRY7Rm
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) 2018年3月18日
また、2018/3/28からGoogleが「Stackdriver APM」というアプリケーションパフォーマンスモニタリングのツール群(モニタリング、ロギング、診断機能のスイート)を提供しはじめ競合となった。
New Relicはビッグデータ・プラットフォームの強みを活かし、次に進出が想定される製品も多様だ。
セキュリティ、データベースモニタリング、ネットワークモニタリング、カスタマー・サポート分析、IoT分析、セールス・マーケティング自動化、データセンターモニタリング等。
New Relicの監視製品で得られた大量のデータから機械学習によって、プロアクティブな障害検知・対応サービスも。
ニューレリックの業績推移グラフ
New Relic(ニューレリック)決算まとめ
✓ アプリケーション・パフォーマンス管理ツール大手
✓ 大企業向けに焦点をあて顧客単価が上昇
✓ 積極的採用拡大でマージンは悪化 https://t.co/heaMPHQSB4
— 米国株 決算マン (@KessanMan) 2019年5月15日
(2018年度はTTM)
スタートアップや中小企業比率が高かったが、徐々に大企業の採用率も拡大。
APM中心だった顧客企業が複数の製品の採用拡大トレンドにあり、月額課金から年単位など契約期間の安定化も進んでいる。
グロスマージンは高く、営業利益率も改善傾向。
SaaS競合の中で高いグロスマージンのNew Relichttps://t.co/ZY5pqDaTou pic.twitter.com/JVp7mZ8nKI
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) March 14, 2018
SaaSの優良企業の分析に関して合わせて参考にしていただきたい。
New Relicの株価
2008年創業で、社名は創業者Lew Cirne現CEOのアナグラムに由来。2014年12月に上場。
ニューレリックの決算を時系列でまとめる
<New Relic ’19 Q4決算> 2019/5/14
EPS(Non-GAAP) $0.13 予想 +$0.07
売上 $132.1M (+34.2% Y/Y) 予想 +$3.91M
<New Relic ’19 Q3決算> 2018/2/6
EPS(Non-GAAP) $0.19 予想 +$0.07
売上 $124M (+35.0% Y/Y) 予想 +$3.89M
ニューレリック決算
New Relic (NYSE:NEWR) Q3
EPS(Non-GAAP) $0.19 予想 +$0.07
売上 $124M (+35.0% Y/Y) 予想 +$3.89M株価は時間外で+3.5%
アプリケーション監視・パフォーマンス分析SaaShttps://t.co/viMd6tD8hy pic.twitter.com/8iLQOrUN45
— 米国株 決算マン (@KessanMan) February 6, 2019
<New Relic ’19 Q2決算> 2018/11/6
EPS $0.20 予想 +$0.08
売上 $114.89M (+35.7% Y/Y) 予想 +$2.68M
Dollar-Based Net Expansion Rate 124% (前年同期は123%)
ニューレリック決算
New Relic (NYSE:NEWR)
EPS $0.20 予想 +$0.08
売上 $114.89M (+35.7% Y/Y) 予想 +$2.68M
Dollar-Based Net Expansion Rate 124% (前年同期は123%)株価は時間外で+5.7%
アプリケーション監視・パフォーマンス分析SaaShttps://t.co/BL9qoxGwup
PDF: https://t.co/im3IWx3fBx pic.twitter.com/JZv1iWoGW5— 米国株 決算マン (@KessanMan) November 7, 2018
<New Relic ’19 Q1決算> 2018/8/7
EPS $0.15 予想 +$0.04
売上 $108.2M (+35.1% Y/Y) 予想 +$2.07M
ニューレリック決算
New Relic (NYSE:NEWR) Q1
EPS $0.15 予想 +$0.04
売上 $108.2M (+35.1% Y/Y) 予想 +$2.07M売上成長とマージンのバランスがうまくできてる。
アプリケーション・パフォーマンス監視・分析SaaShttps://t.co/BL9qoxGwuphttps://t.co/j9xNebYSqh pic.twitter.com/qSFdAWQH4L
— 米国株 決算マン (@KessanMan) August 7, 2018
<Q2ガイダンス>
売上 $110.5M~$112.5M (コンセンサス: $110.44M)
EPS $0.11~$0.12 (コンセンサス: $0.05)
<FY19ガイダンス>
売上 $457.5M~$462.5M (コンセンサス: $457.66M)
EPS $0.39~$0.46 (コンセンサス: $0.36)
<New Relic ’18 Q4決算> 2018/5/8
EPS $0.09 予想 +$0.04
売上 $98.45M (+34.2% Y/Y) 予想 +$2.15M
ニューレリック決算
New Relic (NYSE:NEWR) Q4
EPS $0.09 予想 +$0.04
売上 $98.45M (+34.2% Y/Y) 予想 +$2.15Mアプリケーション監視・パフォーマンス分析プラットフォーム。昨日ジム・クレイマーがクラウドキングの新7強銘柄に選出…https://t.co/BL9qoxGwup pic.twitter.com/LwtfPZUYsn
— 米国株 決算マン (@KessanMan) May 8, 2018
<New Relic ’18 Q3決算> 2018/2/6
EPS $0.05 予想 +$0.13
売上 $91.8M (+34.8% Y/Y) 予想 +$2.49M
<2/6>ニューレリック決算
New Relic (NYSE:NEWR) Q3
EPS $0.05 予想 +$0.13
売上 $91.8M (+34.8% Y/Y) 予想 +$2.49M<解説>
急成長SaaS企業。ソフトウェア開発全般を視覚化するアプリケーション・パフォーマンス分析プラットフォーム。https://t.co/BL9qoxGwup pic.twitter.com/owrOAe9Zzx— 米国株 決算マン (@KessanMan) March 14, 2018