米マクドナルド(McDonald’s Corporation)はゴールデンアーチをシンボルとしたロゴで世界的に知られた巨大レストランチェーン。
1940年に米国のマクドナルド兄弟がバーベキュー・サンドイッチ・ハンバーガー等を提供するレストランを開き成功するも競争激化により撤退。
その経験から、メニュー数を売れ筋の6-8商品まで大幅削減し、合理化された流れ作業による大量販売、食器不要のフィンガーフード、客を動かせるセルフサービスによって低価格でスピーディーに提供するシステムを作り上げ、1948年にそのシステムをもってして現在のマクドナルドが15セントのハンバーガー、10セントのフライドポテトを主力商品としたドライブインレストランとして創業された。
米マクドナルド株価チャート
1954年にミキサーの営業に店舗を訪れたレイ・クロック(Ray Kroc)がマクドナルドの大量生産・高回転率システムに惚れ込みフランチャイズ権を取得(のちに経営権も買い取り)し翌年から怒涛の快進撃を始める(レイ・クロックが選んだ食肉供給パートナーは1955年以来OSIグループだった)。
1966年に初めてのテレビCMが放映され、ここでドナルド(Ronald)が起用され、翌年には海外に初進出(カナダ・プエルトリコ)し、後に世界最大のレストランチェーンとなった。また、1968年にはビッグマック指数で世界的に有名なビッグマックというフランチャイジーのアイデアが取り入れられ販売された。
MCDのフランチャイズ加盟店戦略
現在80%以上がフランチャイズであるマクドナルドは、独自の積極的なフランチャイズ戦略によって加速度的に成長してきた。
フランチャイズ加盟店からのFC収入(ロイヤルティ収入、広告収入、賃貸収入)の伸びがマクドナルドの高い利益率を支えてきた。
フランチャイズシステムのメリットは自己資金が少なくても外部の資金を活用することで店舗展開を急速に行えることができ、直営店ほど設備投資を必要としないことであるが、マクドナルドのFC戦略は、闇雲にフランチャイズ権を販売するやり方(経営権買い取り前にマクドナルド兄弟もそのやり方でレイ・クロックを悩ませた)でなく、出店場所をマクドナルド本社が選定し、土地所有者と契約し店舗を建築した上で、フランチャイジーに売上に応じた賃料で貸し付けるというビジネスモデルであり、このモデルを取り入れたのは創業期のメンバーでありレイ・クロックから財務担当CEOとして指名されたハリー・ソナボーン(Harry J. Sonneborn)である。
ソナボーンは1967年には攻めの経営のレイ・クロックと対立し辞職(ソナボーンは保守的であり、ハンバーガービジネスではなく不動産ビジネスとして当社を捉えていた)することにはなってしまったものの、マクドナルドの発展の上で重要なフランチャイズ戦略を持ち込んだキーパーソンであった。
彼によって構築されたフランチャイズ戦略のメリットは、売上を上げるという共通の利害を本部とフランチャイジー双方が持つことができ、本部は売上が上がることに比例した家賃収入を確保でき、不動産契約も結ぶことからフランチャイジーに対する立場が通常の契約よりも強い立場となり、それにより本部が求める規律・品質・清潔さ・サービスの全国的な標準化(どこで食べてもマクドナルドとして期待された通りの価値の維持)にもつながった。
注文の機械化・効率化が始まっている
朝マックを終日提供するなどの試み以外に、米マクドナルドが進めている取り組みにセルフオーダーキオスクというものがある。
店舗でじっくりと自分の好みにカスタマイズできる。聞き間違えなどによる注文ミスを防止でき、言語によるコミュニケーションの問題も回避できるため、消費者に受け入れられている。
米マクドナルドの業績推移グラフ
1976年以来毎年増配を行っている連続増配企業である。
ファストカジュアルレストランと競争激化
ファストカジュアルレストランとはファストフードとファミリーレストランの中間で、電子レンジ・冷凍食品・うまみ調味料・缶詰を使わない健康的な食材・誠実な食品をファストフードのように提供する近年伸びてきている業態のこと。
マクドナルドはこのファストカジュアルの台頭に何も手をうってこなかったわけではない。
例えばファストカジュアルの代名詞のようなチポトレ・メキシカン・グリルは一時期はMCDが子会社化していた(2006年に売却)。その他、プレタ・マンジェ(Pret a Manger)、Aroma Cafe、Boston Marketなども子会社化していたが、このような業態多角化路線から撤退する方針転換を行った。
その後もカジュアルレストランに圧迫されつつある状況である。だが、いわゆるリーマン・ショック時のような景気後退期ではMCDは鉄壁の業績を示すことができたディフェンシブ株となっており、高コスト・高価格・高品質のカジュアルレストランが永続的にファストフードを打ち負かすことができるのかは注目である。
また、ファストフードでありながら米国の消費者情報誌「コンシューマー・リポート」でランキング上位(一方マクドナルドは最下位になることも)にはいるIn-N-Out Burger(イネナウトバーガー)やチックフィレイ (Chick-fil-A)なども伸びており業界の競争の水準が上がってきていることを示している。
シェイク・シャックのようなグルメバーガーに対抗するために高級バーガーを投入するなどブランドイメージの向上に図るが、創業以来マクドナルドはクイックサービスが価値の原点であり、メニューの複雑化・肥大化による提供スピードの鈍化が懸念されている(同様のメニュー肥大化はスターバックス等他社も課題を抱える難題である)。
競合するファストフード・ファストカジュアル
ヤム・ブランズ(YUM)
―Yum! Brands, Inc.
―ケンタッキーフライドチキン(KFC)
―ピザハット(Pizza Hut)
―タコベル(Taco Bell)
ドクターズ・アソシエーツ
―Doctor’s Associates Inc.
―サブウェイ(SUBWAY)
ジャック・イン・ザ・ボックス(JACK)
―Jack in the Box Inc.
ウェンディーズ (WEN)
―The Wendy’s Company
レストランブランズ(QSR)
―Restaurant Brands International
―バーガーキング(Burger King)
―ティムホートンズ(Tim Hortons)
スターバックス(SBUX)
―Starbucks Corporation
ダンキンブランズ(DNKN)
―Dunkin’ Brands
チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)
―Chipotle Mexican Grill
ハビット・レストラン(HABT)
―Habit Restaurants Inc
シェイク・シャック(SHAK)
―Shake Shack
みんなの投資分析とコメント
サーロインバーガーとやらの高級バーガーでお茶を濁したところでアンガスバーガーの二の舞でしょうし、マクドナルドに求められているのは旨さではなくてポテトとスピードなので、いっそ注文を完全機械化してしまえばいいと思うのですが。
MCD 2014年10-12月期 Q4決算
純利益: 1株当たり1.13ドル
前年同期: 1.40ドル
市場予想: 1.22ドル
売上高: 65億7000万ドル
前年同期: 71億ドル
市場予想: 66億8000万ドル
欧州の販売は好調ですけど米国アジアが残念なことに…。
CEOがスティーブ・イースターブルックに変わった時は株価も期待で上がりましたし、株価も底堅いですが、Q2決算でどうなるか。新CEOは抗生物質を投与して飼育された鶏肉の使用削減を表明したくらいしか今のところ印象無しです。
フランチャイズ管理に長けているマクドナルドですら巨大になったがゆえ外部団体等から標的にされがちで、直営店の賃上げを余儀なくされました。ウォルマートと違って後手感があるので印象も悪いままですし、この賃上げがフランチャイズ店には適用されないとはいうものの当然、労働者支援団体からフランチャイズに対しても賃上げ圧力はあるわけで、亀裂がはしってます。どうなることやら…
5/4に再建計画公表っていうから期待してたら、事業部門の再編やフランチャイズへの店舗売却って…こんなもんだったら決算と同時に発表すりゃいいレベルのことではないでしょうか。
2018年までに3500店舗をフランチャイズに売却してフランチャイズ比率を現在の81%から90%に高めるといいますが、日本マクドナルドも同じ手法でフランチャイズに店舗売却してその利益で原田社長下で一時的にウハウハだったわけですが、それも売却できる直営店舗の弾切れで限界が訪れてしまいましたよね。
せっかくCEOが変わったのにこれじゃ期待薄では?
MCD 2015年1-3月期 第1四半期決算
純利益: 1株当たり0.84ドル
前年同期: 1.21ドル
市場予想: 1.06ドル
売上高: 59.6億ドル
前年同期比: 11%減
市場予想: 59.6億ドル
1-3月期の全世界既存店売上高: 2.3%減少
市場予想: 1.8%減
さすがリーマン・ショック時でも鉄壁の株価だったマクドナルドの株価、今回のGreat fall of China(和名: 堀北真希ショック)でも安定してるね。
朝食メニューを終日提供するように変更されるそうです。
マクドナルドの朝マックは米国では人気なので地味な改善ではありますが良いニュースですね。
うわ、マクドナルドのQ3決算いいな。EPSも売上高もかなり良い。
EPS $1.40 市場予想 $1.27
売上高 $6.615B (前年比+5.3%) 市場予想 $6.412B
朝メニューを終日提供のデメリットとしてマフィンが安いことを懸念する声もありますが、
利益率の高いポテトやドリンクの売上を高めるフロントエンドとして機能するのでトータルではプラスではないでしょうか?
米マクドナルド本社が保有する日本マクドナルド株をファンドや日本の商社などに売却打診していると日経の報道。
これによると最大約33%分を売却する方針らしく、もうアメリカに足ひっぱってると見限られたわけですなあ。
日本マクドナルドは優待株主が買い支えがすごいから本社もいい値段で売却できそうね。
マクドナルドは韓国でビール提供とのこと。
スタバも米国ではビール販売してる店舗もあるようだし、マックのポテトとあいそうだから来客増ポテンシャルはありそう。