JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPMorgan Chase & Co.)は200年以上の歴史ある、グローバルに金融サービスを提供する、世界屈指の資産総額の米国の総合金融機関。
投資銀行部門、アドバイザリー、株式・債券引受業務、トレーディング、個人向け銀行部門、住宅ローン事業、そして最上位パラジウムカードなども話題になったクレジットカードサービス事業でも存在感を見せ多彩な金融サービスを提供。債券発行に関する助言業務で米金融機関首位を数年維持するなど投資銀行・資産運用また多くの部門において米銀の中でも勝ち組と言われる企業である。
JPモルガン株価チャート
ゴールドマン・サックスと共に欧州でのM&Aアドバイザリーにおいても現地金融機関よりもシェアが高いこともあるほど多国籍企業からの引き合いは強い。
超低金利とJPモルガン
金利動向はJPモルガンなど金融機関にとって非常に重要である。
たとえば、利上げは預金から貸出しへの金利差によって銀行の利益を押し上げるためプラス材料となる。
金融危機後に低金利が続いたため、JPモルガンの純金利マージン(資金調達コストと貸付金利との差)は圧迫され続けている。金利が低くあり続けたことで預貸利ざやが拡大せず、純金利収入もそれに応じて縮小してしまう。
リーマン・ショックから敬遠されるJPモルガンだが・・・
金融危機絡みの巨額の賠償金(MBS・住宅ローン訴訟等)や、トレーディングやデリバティブにおいては多くの投資家からその複雑さから不確実性で敬遠されるJPMだが、同社CEOにいわせると大きすぎるポジションを取ることはなく、顧客の取引に対するマーケットメーキングで利益を得ているとしている。米規制当局による圧力で、JPM含む米銀各行の自己資本率は増強され、大口短期資金に過度に依存せず、自己勘定取引による流動性・損失リスクは低下し、そのリスク対応度は米当局によるストレステスト実施で示された。
JPモルガンの業績推移グラフ
JPモルガンの分社化圧力
俗にいうリーマン・ショック後の訴訟や金融規制において、米銀の中でもJPモルガンはその規模の大きさゆえ、米当局による規制の締め付けが厳しく、JPモルガンの事業を従来型の銀行と投資銀行の2社あるいは主要4部門の分社化圧力が存在する。
これとはまた違うが、1929年の世界恐慌後に商業銀行業務(従来型の銀行)と投資銀行の兼業を禁止する法律(グラス・スティーガル法)が制定された際に、JPモルガンは商業銀行、投資銀行部門をモルガン・スタンレーとして分離した経緯がある。
現在はグラス・スティーガル法は1999年に廃止されているが、その復活の提案も存在し、それがなくとも米当局からの自己資本比率の引き上げの義務付け圧力がある。そのためJPモルガンが分社化することでそれら規制を緩やかにできるという見方が根強い。
競合他社
ウェルズ・ファーゴ(WFC)
―Wells Fargo & Co
ゴールドマン・サックス(GS)
―Goldman Sachs Group Inc
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)
―Bank of New York Mellon Corp
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
―Bank of America
シティグループ(C)
―Citigroup
モルガン・スタンレー(MS)
―Morgan Stanley
アメリカン・エキスプレス(AXP)
―American Express Company
みんなの投資分析とコメント
利上げがあるとしても単発でその後継続的な利上げは期待できそうもない低インフレ環境ですからJPモルガン等米銀はしばらく上値が重い展開になりそうですね。
JPM 2015年4-6月期 Q2決算
純利益: 1株当たり1.54ドル
前年同期: 1.46ドル
市場予想: 1.44ドル
売上高: 245億3000万ドル
前年同期: 3.2%減
市場予想: 244億9000万ドル
人員削減計画は着実に進行中で経費は削減された模様。
JPM 2015年1-3月期 Q1決算
純利益: 1株当たり1.45ドル
前年同期: 1.28ドル
市場予想: 1.40ドル
売上高: 248億2000万ドル
前年同期: 4.1%増
市場予想: 244億9000万ドル
Q2では不振ではあったがQ1ではトレーディング収益が好調だった。
JPモルガン・チェースは他の米銀に比べると経営の質が高いし、主要4部門とも単独で成立するほどですし、金融はこの地合いだと敬遠されてますが、SPYなどS&P500ETFに混じってることを気にする必要はない程度では。
JPモルガンの第3四半期決算は微妙でしたね。
JPM Q3 調整後EPS $1.32 市場予想 $1.38
JPM Q3 売上高 $23.5B 市場予想$24.04
スマホをかざした小売店での決済手段 Apple Pay の競合となる Chase Pay をJPモルガンがリリースしましたね。
薄利多売作戦で小売店(ウォルマートやベストバイ)との契約を獲得している模様。