ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)は1886年に創業。「Our Credo」による高い倫理観を受け継ぐ世界最大のトータルヘルスケア企業。主に医療機器・医薬品・消費者向けプロダクトの3つのコア事業部門にわかれ、数万以上の製品を全世界に提供している。
JNJ株価チャート
子会社ではなく「Family of Companies」という分社分権経営コンセプトをOur Credoという理念「第一に顧客、第二に社員、第三に地域や世界、第四に株主に対する責任を負う」がジョンソン・エンド・ジョンソンの全体の動きとして支えている。
JNJの医療機器、医薬品、そして消費者向け製品
医療機器
外科手術関連製品(子会社エチコンによる)
―縫合糸など従来の事業だけでなく外科手術ロボットをGoogleと共同開発
感染予防機器(洗浄・消毒・滅菌)
整形外科用医療機器
医薬品
ニコレット(禁煙ガム)
タイレノール(頭痛薬)
アキュビュー(使い捨てコンタクトレンズ)
消費者向けプロダクト
ベビーケア(ジョンソンベビー)
バンドエイド(絆創膏)
リステリン(口腔ケア)
リーチ(歯ブラシ)
JNJの業績推移グラフ
全産業の中でもトップクラスの研究開発費を投じていることが直近5年間に発売した新製品比率25%を維持し続ける事などに結びついている。
近年は費用削減と高成長事業への集中のため女性用日用品部門や心臓・末梢血管関連機器事業を売却する一方で、スイスの骨の接合の医療器具メーカーであるシンセスの当時JNJ史上最大の買収(約216億ドル)、バイオ医薬品メーカーの米アリオス・バイオファーマを買収、2016年には43億2500万ドルでアボット・ラボラトリーズの眼科治療事業を買収するなど選択と集中を行っている。
医薬品・医療機器の同業他社
メドトロニック(MDT)
―Medtronic, Inc.
―心臓ペースメーカー、外科手術製品等
―コビディエン(Covidien)を429億ドルで買収
アッヴィ(ABBV)
―AbbVie
―ヒュミラがJNJのレミケードと競合
―ファーマサイクリックス買収でJNJに競り勝ち
ギリアド・サイエンシズ(GILD)
―Gilead Sciences
―ハーボニ・ソバルディがJNJのオリシオと競合
アボット・ラボラトリーズ(ABT)
―Abbott Laboratories
―病院用医療機器、診断薬事業
ベクトン・ディッキンソン(BDX)
―Becton, Dickinson and Company
―医療用器材、インスリン用注射器材、感染症診断
ストライカー
―Stryker
―人工関節、骨接合材料、内視鏡
みんなの投資分析とコメント
アッヴィがファーマサイクリックス(がん治療薬バイオ)を210億ドルで買収しますよね。
ジョンソン・エンド・ジョンソンが買収しようとしていたところヒュミラ特許切れの焦り(それと米政府のタックスインヴァージョン牽制でシャイアー買収断念したこと)もあってアッヴィが横槍いれてきたのは理解できるんですが、JNJの現在の立ち位置はどのようなものなのでしょうか。相乗りされたという感じでしょうか。
JNJはファーマサイクリックスの血液がん治療薬インブルビカ(Imbruvica)を共同販売する立場で、インブルビカの権利の半分を所有(2011年に10億ドル以下で権利を取得)していましたが、それは現在も変わらずという理解で良いのかな?
アッヴィはインブルビカの年間売上高ピーク時の半分の権利として70億ドル超と見積もっているようですが、JNJも半分の権利を持ったままならけっこう大きいのではないでしょうか。インブルビカ以外の第3相までフェーズが進んだ治療薬にも期待です。
JNJ 2014年10-12月期 Q4決算
「為替変動が売上高に4.5%も下押し効果で減収減益」
純利益: 1株当たり0.89ドル
前年同期: 1.23ドル
訴訟・買収費用などを除く1株利益は1.27ドル
前年同期: 1.24ドル
市場予想: 1.26ドル
売上高: 182億5000万ドル
前年同期: 183億6000万ドル
市場予想: 185億6000万ドル
医療機器部門売上高: 9%減
為替変動に加え、低成長部門ではあったものの診断機器事業の売却が減収要因となったか。
これは輸血検査や感染症検査向け臨床診断薬・機器業界大手であった傘下の臨床検査事業オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックスをカーライルに40億ドルで売却による。
消費者向け製品部門売上高: 3.9%減
これも米国では2.5%増であり、為替の影響が大きい。
医薬品部門の売上高: 9.6%増
インボカナ(糖尿病治療薬)、ザレルト(抗血栓薬)、ステララ(乾癬治療薬)が牽引し米国23%増、海外では2.7%減(為替変動を除くと5.8%増)、オリシオ(C型肝炎治療薬)はソバルディ・ハーボニの台頭で減速。
JNJ 2015年1-3月期 Q1決算
「為替変動が売上高に7.2%も下押し効果で減収減益」
純利益: 1株当たり1.53ドル
前年同期: 1.64ドル
訴訟や買収等除くと: 1.56ドル
市場予想: 1.54ドル
売上高: 173億7000万ドル
前年同期比: 4.1%減
市場予想: 173億1000万ドル
通期1株利益予想引き下げ
従来予想: 6.12〜6.27ドル
通期予想: 6.04〜6.19ドルに
理由: 為替変動、オリシオさらに減速
現在JNJは53年連続増配記録が続いてますね。
7.1%増配されました。(2.80ドル→3.00ドル)
現在の配当利回りはちょうど3.0%ですが、まあまあな水準ですかね。
さっきでた第3四半期決算は為替の影響が大きくイマイチでしたが100億ドルもの巨額の自社株買い発表でトントンといったところですかね。
JNJ 3Q
調整後の1株利益1.49ドル(予想1.45ドル)
売上高前年比-7.4%(為替の影響が-8.2%)
ドル高もそろそろ頭打ち感ありますし、そろそろ為替を言い訳にできなくなる時期がやってきそうですが。
問題はJNJの税引前当期純利益が前年比40%も暴落してることじゃないですか。
昨年JNJはGAAPで実効税率30.3%だったのが今年18.5%まで落ちたことで救われている部分があるということです。
ひどい決算だったMONですら自社株買いで反発したので、JNJのパイプラインを考えると先行きは分からないですけどね。
JNJが医療機器部門で従業員を最大約3000人削減するリストラ計画とのことで、米国企業はリストラクチャリングがスムーズでいいですね。