インテル(Intel Corporation)は世界最大の半導体メーカーで、マイクロプロセッサ、チップセット、フラッシュメモリなどコンピューターの基礎となる高付加価値のあるテクノロジーを開発・販売している。
インテル株価チャート
「集積回路の集積度は約2年ごとに倍増し(つまり性能UP)それに反比例して製造コストは減少する」というムーアの法則で知られるゴードン・E・ムーアを共同創業者に高速で小型かつ安価なトランジスターを開発したことからインテルは始まった。
Intelの歴史
1970年
世界初のDRAMを発表。
1971年
世界初のマイクロプロセッサー(コンピューターの頭脳)を発表。
1985年
インテル創業以来のDRAM事業のコモディティ化を予見し撤退。
高付加価値のマイクロプロセッサーの開発・生産に経営資源を集中させる。
2005年
マイクロン・テクノロジー社と共同でフラッシュメモリー事業に参入。
NAND型フラッシュメモリ製造の合弁会社 IM Flash Technologies(IM フラッシュ・テクノロジーズ)を設立。
2011年
セキュリティソフトのMcAfeeを買収。マカフィーブランドをインテルセキュリティとして置き換え、セキュリティソフトウエアのバンドル化へ。
パスワード管理技術を手掛けるパスワードボックスを2014年に買収しており、こちらもインテルセキュリティに付随してサイバーセキュリティー分野を強化しているところだ。
インテルの業績推移グラフ
Microsoft(Windows)との連携が強くWintel時代とも呼ばれていた。現在もProject AlloyなどVR機器などでの提携をみるに戦略的関係であることは変わらないようだ。
PC向けの覇者インテルはモバイルで苦戦
PC向けで圧倒的シェアのインテルだがスマートフォンで主導権をとれず、モバイル分野ではARMやクアルコムら他社の独占が続く。
インテルは90年代後半から携帯電話(現在はスマホ)事業に参入するため多額の企業買収などを行ってきたものの、ことごとく失敗に終わっており、せっかくの挽回のチャンスであった初代iPhone向けのプロセッサの供給を断る判断ミスも響き、PC向け事業と違い苦戦が続く。
スマホの機能の中心となる半導体集積回路(アプリケーションプロセッサ)は省スペース化のためCPUにさまざまな機能を備えたスマホにとって最も重要な部分であり、通信に強みのあるクアルコムが圧倒的シェアを築く。
Intelがファブレス(生産工場をもたない)であるライバルARMとファウンドリ事業(受託生産)で提携し、ARMプロセッサを製造することを発表するなど戦略的転換も見られる。
インテルのIoT事業
ウェアラブル端末、自動車、家電、医療など身の回りのさまざまな機器をインターネットに接続するモノのインターネット(IoT)化を主導するクライアント・コンピューティング部門を通してIoT事業にも注力している。
ケーブル・ゲートウェイ以外のネット接続方法の開発のため2015年にはドイツのICチップメーカーのランティックを買収し同IoT事業に統合。
インテルの競合他社
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)
―Advanced Micro Devices, Inc.
―PC向けCPUでの主な競合
クアルコム(QCOM)
―Qualcomm, Inc
―アプリケーションプロセッサ「Snapdragon」がスマホで圧倒的シェア
テキサス・インスツルメンツ(TXN)
―Texas Instruments Incorporated
Intel Corporation: http://www.intel.com/
みんなの投資分析とコメント
インテルのサーバ向け半導体Xeon等を扱うデータセンター事業部門の売上高が伸びているので、同じくデータセンターで利用されるFPGAを開発するAltera(アルテラ)の買収を打診したことは納得できます。
クラウドの伸び=データセンター需要増ですし、アルテラはファウンドリー事業の最大顧客。インテルの事業ポートフォリオも分散できますし。
しかし金額の折り合いがつかずに決裂した模様…。
個人的にはスマホ事業に赤字垂れ流し続けるぐらいならこの買収を成功させて足元固めてほしかったんですが。
圧倒的シェアによる価格決定権のあるPC向けCPUと違い、これまで失敗続きのスマホ向けの後発の参入はレッドオーシャン化(競争過多)が懸念されているため(iPhone7に採用されればまた話は違うが)、投資家としては見切りをつけてほしいところではないでしょうか?
長くなるので2014年Q1からモバイル部門の個別業績を開示しはじめたんですが2015年からまた非開示となりました。
思ったより悪化するので隠したくなる気持ちはわかりますが…
Mobile and Communications Groupの2014年Q1-2について触れておきますと
2014年Q1 営業損益は9億2900万ドルの赤字
2014年Q2 10.24億ドルの赤字
このようにさんざんです。2014年通期では42億ドルくらいの赤字だったのでは。
とりあえずIntelの第4四半期決算と最近の決算をみてみます。
インテル 2014年10-12月期 Q4決算
純利益: 1株当たり0.74ドル
前年同期: 0.51ドル
市場予想: 0.66ドル
売上高: 147.2億ドル
前年同期: 138.3億ドル
市場予想: 147.1億ドル
インテル 2015年1-3月期 Q1決算
純利益: 1株当たり0.41ドル
前年同期: 0.38ドル
市場予想: 0.41ドル
売上高: 127.8億ドル
前年同期: 127.6億ドル
市場予想: 129億ドル
粗利益率60.5%(59.6%から改善)
2015年12月期見通し
売上高: 559億ドル(前年並み)
市場予想: 556.9億ドル
アルテラの買収は一時期破談と言われていましたが昨晩、167億ドルで買収合意という結果になったようです。よかったですね。
これでビジネスとしても安定感が出たように思います。
OpenStack(オープンソースのIaaSと呼ばれるクラウド基盤ソフトウェア)というプロダクトをもつミランティス(米国)にインテルが中心になり1億ドル投資するそうです。
インテルがクラウド企業に投資するメリットはどの程度あるのでしょうか?
インテルはドローン事業の出資に熱をあげていますね。
最近だとドローン製造のYuneec(ユニーク)に6000万ドル出資
ドローンOS覇権取りのAirware(GEも出資)
人工知能ドローン・データ解析のPrecisionHawk
これらがインテルのドローン関連投資の代表例でしょうか。
純投資のようにも思えますがインテルはドローンのCPUの足がかりを得たいのかもしれません。
インテル 第3四半期決算は予想より良かったもののサプライズ感はなく。
EPS $0.64 市場予想を$0.05上回る
売上高 $14.47B (前年比-0.5%) 市場予想を$250M上回る
$0.24から$0.26に増配か。
Intelが最近買収したAIスタートアップのNervana SystemsでNVIDIAらに侵食されつつあるビジネスを補強する考えでしょうか?
しかし、Intelの買収は過去ほとんどうまくいっていません。
アルテラの買収も思ったほど成果をあげていないのではないでしょうか?
これだけクラウドブームでデータセンター需要があるはずなのにDCG(データセンター部門)もパッとしない売上増です。
つまるところ競争優位性が乏しいということでは?
大量のリストラでIoTやデータセンターに経営資源を集中しようにも、Intelの強みがぼんやりしているように思うのです。
一方、メモリに目を向けるとこちらもコモディティ化の脅威がちらつきますが、
それでもインテルがMicron Technologyと組んで3D XPointメモリ(次世代不揮発性メモリ技術)に取り込まなければならないのは
システム性能の制約(電力効率等も)がインテルが強みとするプロセッサからメモリに比重が高まっているという点があります。
ともあれインテルはその3D Xpointを搭載したSSDを Intel Optane ブランドとして売り出していく予定ですが、
ただ、あくまで3D Xpointの狙いはSSDというよりDIMM、つまりサーバ用です。
インテルがコードもコントローラも不要の完全スタンドアロン型のProject Alloyを発表しましたよ。
これすごいです。コードが邪魔だったり、コントローラもOcculus、Sony PS4、Viveともにいまいちでしたから、ユーザーの手それ自体を認識して仮想オブジェクト操作できるのであれば最適解ではないですか?
このProject Alloy のハードウェア・APIは来年オープンプラットフォーム化(つまりインテルのエコシステム囲い込み)し、サードパーティーが Project Alloy 準拠のVR /AR ヘッドセットを販売できるようにする予定とのこと。マイクロソフトとも組んでいます。
いやーVRの覇権争いがわからなくなってきました。
さらにIntelがファブレス(fabless、つまりfab=生産工場をもたない)のライバルARMとファウンドリ事業(半導体メーカー・ファブレスから委託で半導体チップを製造=つまり受託生産)で提携し、ARMプロセッサを製造することを発表していますし、立て続けにニュースが出てきましたが最近インテルの株価が底堅かったのはもれてたかもしれませんね。