Instructure, Inc.【NYSE:INST】
インストラクチャーはクラウドベースのLMS(学習管理システム)を学校・企業に提供するSaaSベンダー。
LMS: Learning Management System
学習者のための教材管理・提供から学習履歴や試験の成績管理といった学習コンテンツマネジメントなど授業計画・学習支援のための包括的サービスを提供し、教員と生徒間のコミュニケーション・コラボレーションを行うためのプラットフォームとなる学習管理システム。
インストラクチャーの売上の成長は驚異的で、収益は主にサブスクリプションベース。
売上ベースのリテンションレート(既存顧客維持率)は100%以上で解約よりアップセルが上回っている。
教育機関向け学習管理プラットフォームから企業向けにも進出
学校向けのCanvasと企業向けBridgeがInstructureの主力のラーニング・マネジメント・システム。
教育機関向けの「Canvas」とは?
<Canvas>
「使われなければ意味がない。」
2011年にリリースされた学習管理システム(LMS: Learning management system)
K12(たとえば幼稚園から高校までの12学年の教育)と高等教育(大学など)の学習と指導のパフォーマンスをあげるために立ち上げられた。
世界中の何百万人もの学生や教師が使用している。
<gauge>
gaugeのようなAMS(Assessment Management System)は学生の学習状況を測定する包括的ツール。
リアルタイムのレポート作成機能によって教師や管理者に実践的データを提供し、指導や学生の学習成果を向上させる。
事前定義されたシナリオ(未受講などの場合)に授業単体だけではなく複数の授業を横断し教師や管理者が状況を確認できるよう可視化し自動的にメンタリング可能にする。
Canvas学習管理システム(LMS)と統合して使えるためシームレスでスケーラブル。
<arc>
一方的な授業動画を受動的に見る時代を終わらせる気概で投入されたインタラクティブ・コラボレーション学習のための統合映像プラットフォーム。
授業コンテンツをタイムタグづけされたコメントやコラボレーション可能にする。
CanvasともBridgeとも連携。
1分で分かるInstructureの主要LMSのCanvasとBridge。
企業向けの「Bridge」
<Bridge>
2015年にリリースされた企業の研修や従業員のキャリアパス構築支援のためのLMS(学習管理システム)。
企業・マネージャー・インストラクターが簡単にカスタマイズ可能でコンテンツプロバイダとも統合可能。
従業員ごとに個別化された継続的なキャリア開発プラットフォームとして目標と学習を1つのインターフェイスで管理。
従業員はアニュアル・レビューを待つよりもマネージャーや同僚からの継続的なフィードバックを求めており、従業員エンゲージメントと企業の教育の考え方を変えることを目指して立ち上げられた。
マネージャーの皆さん、こんな調査が。
Source PDF: https://t.co/unPpZjfUvp pic.twitter.com/NwTqYihC5x
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) May 13, 2018
<Practice>
企業の専門知識を共有するためのビデオコーチング・トレーニングツール。
従業員のスキル強化をコラボレーション可能にし、タイムリーなフィードバックを受け取ることができるビデオ学習ソリューション。
インストラクチャーの顧客はアイビーリーグのうち7校や、顧客企業もテスラなど徐々に企業向けの導入も進んでいる。
アメリカ東海岸のエリート難関私立大学でハーバード大学、イェール大学、ブラウン大学、ダートマス大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、コロンビア大学、コーネル大学など8校で構成される。
インストラクチャーの競合他社と市場
米国の教育産業は教員がストを起こすレベルで米国の教育予算が貧弱ということもあるが、それはともかく企業向けのTAM(Total Addressable Market)の拡大が著しい。(ただしTAMは都合の良いTAMの定義に依存することもあり砂上の楼閣パターンもあるので注意)
インストラクチャーの売上高の米国比率は82%と高く、長期的には海外が成長ドライバーとなる。
また、LMS(学習管理システム)業界は成熟し顧客の奪い合い・競争の激しい領域でもあり非常に断片化した市場だ。ネットワーク効果も限定的でMoat(濠)が深いとは言いづらいので市場の伸び率に注意しよう。
インストラクチャーの主な競合
Blackboard
1997年設立で、Blackboard LearnはLMSでシェアが高い。
コーナーストーン・オンデマンド(NASDAQ:CSOD)
Cornerstone OnDemand, Inc.
従業員の採用から職場への導入支援、人材育成、業績管理、後継者育成など従業員の育成と組織の成長を支援するクラウドベースの学習・タレントマネジメントソフトウェア・ベンダー。
ムードル
Moodle: Modular Object-Oriented Dynamic Learning Environment
無料で授業に活用できるオンライン学習管理システムとしてオープンソースで提供。
インストラクチャーの業績推移グラフ
*2018年度は2018Q1時点のTTM
Recurring Revenue比率が高く売上の予想可能性が高いストック型ビジネス。
グロスマージンは上昇傾向。
顧客獲得のための支出の市場環境に応じたバランスなどによって利益率も戦略的にコントロールしている。
季節的にQ3以外で顧客獲得に費用が集中するためQ3にフリーキャッシュフローがのる傾向がある。
長期的にはセールス&マーケティングをここまで絞れるという。
Instructureの株価
インストラクチャーの現在のCEOはJosh Coates氏。
彼は1999年にScale Eightを創業し知的財産をインテルに売却、その後Mozyを創業するもEMCに買収されるなど(Mozyは後にオンラインバックアップのカーボナイトに買収された)連続起業家として成功をおさめた。
2008年に創業されたインストラクチャーは現CEOであるJosh Coates氏が初期の投資家で2010年にインストラクチャーのCEOに就任した。
北米EduTech主要27社のカテゴリ分け(2013年)が興味深かった。ここからでかくなった企業もいくつかある。
Source: https://t.co/VLRRZeDOeG pic.twitter.com/f1To7XFmEf
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) May 5, 2018
このEduTech企業リストのLMT(生徒・評価管理システム)の項目にインストラクチャーも紹介されている。
他のEduTech企業に関心がある場合は2Uを紹介しているので参考まで。
また、インストラクチャーは2011年に無料のMOOC「Canvas Network」を開始している。
インストラクチャーの決算を時系列でまとめる
<Instructure ’18 Q2決算> 2018/7/30
EPS -$0.24 予想 +$0.02
売上 $50.06M (+29.9% Y/Y) 予想 +$0.59M
売上高成長率の減速をどうみるか。
<Instructure ’18 Q1決算> 2018/4/30
EPS -$0.21 予想 +$0.02
売上 $47.99M (+39.2% Y/Y) 予想 +$0.87M
インストラクチャー決算<注* 4/30>
Instructure (NYSE:INST) Q1
EPS -$0.21 予想 +$0.02
売上 $47.99M (+39.2% Y/Y) 予想 +$0.87M<解説>
学習管理システム(LMS)をクラウドベースで学校・企業に提供するSaaSベンダーhttps://t.co/1mhNGfUDZy pic.twitter.com/lsuWT0m0z4— 米国株 決算マン (@KessanMan) May 13, 2018
Paychexとリセラーパートナー提携し、Paychexの顧客企業、つまりこれまで積極的に営業対象としてこなかったスモールビジネスにリーチ可能になる。
7/24-26に毎年恒例のユーザーイベント「Instructurecon」が開催される。新技術などの動向はこちらでチェックしよう。