Honeywell International Inc.【NYSE:HON】
ハネウェル・インターナショナルは製造・テクノロジー分野のコングロマリット(複合企業)であり、航空宇宙分野でエンジンなど幅広いプロダクト、ビルや産業用の制御・自動化テクノロジー、ターボチャージャー、パフォーマンスマテリアルズなどを手がける。
まだ比率としては大きくはないもののソフトウェア・インダストリアル・カンパニーを目指してソフトウェア強化の方向にシフトしている。
主に航空宇宙、ビルディング、プロセスソリューション、物流施設オートメーションなどにおいてコネクテッド・エンタープライズというコンセプトを掲げている。
ハネウェルとは?ごちゃまぜコングロマリットからスピンオフで方向性が出てきた。
2018年に2社スピンオフ(後述)を発表していたように、コネクテッド・エンタープライズという方向性にフィットした事業ポートフォリオの管理を行っている。
ハネウェルの航空機部門
航空宇宙分野はハネウェルでもっとも売上比率が高い事業。
ハネウェルの航空機の推進装置(推進用航空機エンジン)および補助動力装置(圧縮空気や油圧、電力供給のためのエンジン)・操縦システム・衛星通信システムなどのプロダクトは世界中のほぼすべての商用航空機・防衛用(空軍)プラットフォームで使われている。
パフォーマンス・マテリアルズ・アンド・テクノロジーズ
石油・ガスの制御オートメーション、最先端素材・プロセス技術の開発、計装など製造分野における世界的プロバイダー。
UOPの強さ際立つ。
UOPはガソリンの大量生産を可能にするプロセス技術を初めて商業化した企業で、世界中の精製業者がガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、石油化学製品を効率よく大量生産することができるようにしたパイオニア企業。
UOPはハネウェルが2005年にダウ・ケミカル(現ダウ・デュポン)傘下から株式取得で完全子会社し、ハネウェルのパフォーマンス・マテリアル事業の補強に貢献した。
ハネウェル・プロセス・ソリューションでは素材産業において「ハネウェル・コネクテッド・プラント」を推進し、産業施設のビッグデータを利活用して設備管理を効率化する解析ツール(クラウドベースもオンプレミスも)、プロセスオートメーションから、MR(Mixed Reality)を利用してプラントの作業員を訓練するためのクラウドベースのシミュレーションツールや、保守点検作業効率化ツール、IIoT(Industrial Internet of Things:産業用IoT)、産業施設のサイバーセキュリティにおいてMicrosoftやパロアルトネットワークスと提携し協業しながらソリューションを提供。産業向けサイバーセキュリティソフトウェアNextnineを買収するなど補強。
ビルディング部門
主に商業建築物向けの制御・自動化ソリューション。
たとえば、ハネウェルが2005年に買収したTridium(トリディアム)のスマートビルディングソリューションNiagara(ナイアガラ)は複数のビル管理(設備管理・警報管理・エネルギー管理)・制御・分析・中央監視などを見える化で使いやすくするツール。
セーフティ・アンド・プロダクティビティ・ソリューションズ
SPS: Safety and Productivity Solutions
主に倉庫自動化ソリューション、セーフティープロダクト。
ECの成長で倉庫内作業自動化が追い風。ポータブルガス検知器などハイリスク・セーフティープロダクトも。
なお、ハネウェルは米国のDCオートメーションでNo.1プロバイダー。
Distribution Center(ディストリビューションセンター:在庫型物流センター)
ハネウェルのプレゼンスの強弱がひと目でわかるサプライチェーンの視覚化。
主に中国とインドの伸びが二桁増で期待できるという。
このVocollect Voice Pickersというのは音声中心型の物流ソリューションで世界シェアNo.1のヴォコレクトのピッキング作業の効率化システム。
具体的には、倉庫内荷役業務(ピッキング、倉入れ、棚補充、入庫、出荷、棚卸などの物流業務)をヘッドセットを通じて作業者がシステムとの音声指示・音声回答によって効率よく作業できる仕組み。両手がフリーになるため運搬との相性がよい。
ヴォコレクトは1987年創業で2011年にインターメックに買収され(Intermec: サプライチェーン向けに過酷な現場環境でも壊れにくいハンディターミナル)、2013年にインターメックをハネウェルが買収したことで傘下となり、現在はハネウェル・スキャンニング・モビリティのVoice Solution部門に統合されている。
飲み込まれる前にソフトウェアを飲み込むハネウェル
まだまだ売上高比率は低いがハネウェルはソフトウェアを成長ドライバーと位置づけている。
“Software is eating the world” を思い出す。
「すべての企業がソフトウェア企業になっていく」
本稿はソフトウェア企業の業績に関する有益な資料を発見したことで、その紹介と共にこれまでの記事をまとめていこうという内容だ。 I...
ハネウェルもソフトウェア勢力によるディスラプションの波に備えるデジタルトランスフォーメーションを強化している。
特にビルディング管理なども競合するSaaS企業が出てきているし、レガシーな企業はディスラプトされる前に転換に投資しなければならない。
ということでハネウェルも事業ポートフォリオを再構成し備える。もちろん利益がでている競争力があるうちに先手をうった攻めの投資という姿勢だ。
スピンオフを行ったのも、ハネウェルのコネクテッド・エンタープライズの方向性としてややまとまりのない事業。
<ハネウェルからスピンオフされる企業>
Garrett Motion(GTX/ガレット・モーション: 元ハネウェルのトランスポーテーション・システム)
Resideo Technologies(REZI:レジデオ・テクノロジーズ: 元ハネウェル・ホームおよびADIディストリビューション)
ハネウェルの業績推移グラフ
有害物質・公害などで企業責任が問われた歴史も忘れてはならない。
ハネウェルの株価
同業(複合企業)株価との比較。
ちなみにこのグラフに含まれる複合企業は
ゼネラル・エレクトリック(NYSE:GE)
エマソン・エレクトリック(NYSE:EMR)
スリーエム(NYSE:MMM)
ユナイテッド・テクノロジーズ(NYSE:UTX)
また、それ以外にハネウェルが競合とみなしているのは
ジョンソン・コントロールズ(NYSE:JCI)
インガーソル・ランド(NYSE:IR)
ハネウェルの決算を時系列でまとめる
<Honeywell ’18 Q4決算> 2019/2/1
EPS(Non-GAAP) $1.91 予想 +$0.02
売上 $9.73B (-10.2% Y/Y) 予想 +$30M
スピンオフの影響除く売上高 +6% Y/Y
ハネウェル決算
Honeywell (NYSE:HON) Q4
EPS(Non-GAAP) $1.91 予想 +$0.02
売上 $9.73B (-10.2% Y/Y) 予想 +$30M
スピンオフの影響除く売上高 +6% Y/Y航空宇宙・ビル・産業向け制御テクノロジー等の複合企業
株価は時間外で+1.7%
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— 米国株 決算マン (@KessanMan) February 1, 2019
<Honeywell ’18 Q3決算> 2018/10/19
EPS $2.03 予想 +$0.04
売上 $10.76B (+6.3% Y/Y) 予想 =
ハネウェル決算<10/19>
Honeywell (NYSE:HON) Q3
EPS $2.03 予想 +$0.04
売上 $10.76B (+6.3% Y/Y) 予想 =スピンオフで切り離した企業の株価が下がりまくってるが…
コングロマリットのハネウェルも少しばかりだがソフトウェア・シフトを意識しているんだなぁ。https://t.co/3CGKAItUdy pic.twitter.com/7vWO4gatfa
— 米国株 決算マン (@KessanMan) October 22, 2018