ホームデポ(The Home Depot Inc)はアメリカ最大、そして世界最大の住宅リフォーム小売チェーン(ホームセンターの大規模版)で、ほとんどの売上を占める米国を中心にカナダやメキシコも含め2200店舗以上展開する。
無料のDIY教室を開催するなどDIY(日本でいう日曜大工)市場自体を拡大してきたマーケットリーダーで、業者価格で家一軒を建てるのに必要なものが全てホームデポに揃っているワンストップ大型店で、DIY向けの工具や建設資材などの他、芝生や園芸資材などのガーデニング用品も取り扱う。
ホームデポ株価チャート
HDの主要顧客は以下の3属性に分けられる
DIY(DIH): Do it your(her)self
自分で住宅の修繕やリモデルを行う顧客への販売や工具レンタル。
ホームデポはDIY層自体の拡大のために専門知識をもった従業員の教育に多大に投資を行ってきた。
DIFM: Do it for me
業者に修理やリフォームを委託し資材だけ購入する顧客にわかれる。
2012年に買収したRedBeacon(レッドビーコン)を通して修理・修繕などを簡単に実績開示の評価済の業者の見積もりを得ることができる(下記の動画で紹介)。
リフォームのマッチングも様々な試みが行われており、例えば「キッチンプランナー」ではただのマッチングではなく細かいニーズを汲み取り業者とのイメージのすりあわせを助ける仕組みを提供している。
ホームデポはメディアにスキャンダルとして取り上げられるほど質の悪いリフォームマッチングを過去に行っていたためレッドビーコンは良い買収で、業者評価・マッチングシステムはうまく機能しているようだ。
プロフェッショナル
業者向け販売の比率も3分の1ほどと高い。
2017年にはコンパクトパワー(Compact Power Equipment Inc)を買収。
コンパクトパワーはこれまでホームデポ敷地内で建設用機器や工作機器のレンタル・メンテナンスサービスで長らくパートナーだった企業。
ホームデポは小売の中でもAmazon耐性があると言われており、牽引車やトレーラー、掘削機などをレンタルすることはAmazonには一朝一夕には真似出来ない住宅・建設関連小売のワンストップ感だ。
新規出店を控えてITに力を入れたことが功を奏した
ネット注文から最短即日発送が可能となるフルフィルメントセンターを建設するなど近年は新規店舗出店は控えてオンライン販売強化に力をいれている。
現在、来店客のほとんどがホームデポのサイトにアクセスしてから来店している。単なるオンライン販売というだけでなく膨大な量のハウツーコンテンツなどの情報提供をしており、これによりDIY層を教育し拡大している。
店舗は平均面積3000坪の巨大倉庫で、何度行っても飽きない店と評判(S&PによるとDIYの天国)で、プロからも重宝される専門知識豊富な店員が魅力。
1店舗あたりの売上高が大きく、ホーム・デポは既存店売上高を重視した経営をしており、粗利益率が高い。
ホームデポの業績推移グラフ
<以下、年次業績グラフ:データ更新遅れます>
ホームデポは1978年にバーニー・マーカスとアーサー・ブランクが創業し、資金ゼロから借金をして1号店を出店して以来顧客視点で快進撃を続け、1981年には上場、1999年にはダウ平均銘柄に採用と、リーマン・ショックの時期以外は減収減益することなく成長してきた。
1994年にカナダに参入
2001年にメキシコに参入
2006年に中国に参入するも2011年には撤退
ホームデポ・スタッフを対象にした企画自体のレベルも高く広告代理店に頼らないDIYで宣伝効果を上げている。
米国の住宅価値観は日本とは大きく違い、米国で住宅を買うといったときは中古住宅が一般的で中古住宅のマーケットが厚い。
たとえば新婚などの若い時期は住宅ローンで小さな住宅を買い、その後10年ほどで子供の成長などで買い替え時期が来る時に高値で売却できるようホームデポや競合DIY店チェーンのロウズ(Lowe’s)でDIY部材を買って自分達で住宅に手を加え続ける。こういった来店頻度の高いDIY層をホームデポは創出しマーケットを開拓した。
ただし、ミレニアル世代は郊外にメンテナンスが必要な戸建てではなく都市部にシェアハウスなどで移り住む傾向が高く、従来の住宅の価値観は変わっていく可能性はあるが、無料のキッズワークショップなども開いており、将来の潜在顧客づくりも欠かしていない。
みんなの投資分析とコメント
以前ロバート・ナルデリがCEOだった時期はホーム・デポは停滞感はありましたね。創業者がDisるくらいですから…
カーテンやブラインド等のオンラインストア世界1位のBlinds.comを2014年に買収していますね。ネットでのプレゼンスも高まってきていると思います。ホームデポのネット販売も急成長が続いていますし。
ホームデポ 11-1月期Q4決算
(2015年2月1日までの第4四半期決算)
前年同期比36%増と過去最高の純利益に。
純利益: 1株当たり1.05ドル
前年同期: 0.73ドル
子会社株一部売却の影響除くと: 1.00ドル
市場予想: 0.89ドル
*子会社HDサプライ・ホールディングスの一部株式売却が純利益を1億1100万ドル押し上げ
売上高: 191.6億ドル
前年同期: 8.3%増
市場予想: 187億ドル
客単価3%増
180億ドルの自社株買いを設定
26%の増配を発表
2016年1月期通期の1株利益を5.11~5.17ドル、増収率は3.5~4.7%と予想するガイダンスを発表しましたがHDは例年保守的な見通しを出す傾向にあるのでどうでしょうかね。
(アナリスト予想は1株利益5.23ドル、増収率5%)
昨年クレジットカードなど顧客情報流出事件がありましたが、微動だにしない業績ですね。最近の住宅指標は元気がないですが、Q1決算は原油安の恩恵をどの程度受けているのかと寒波の影響が気になります。
昨晩でた指標の4月アメリカ住宅着工件数と4月アメリカ建設許可件数が良かったですからね、やや住宅市況の悲観的な見方は後退か。
ホームデポ 2015年2-4月期 Q1決算
純利益: 1株当たり1.16ドル
市場予想: 1.15ドル
前年同期比15%増の15億7900万ドル
売上高: 208.9億ドル
前年同期比: 6.1%増
市場予想: 208.1億ドル
16年1月期についての従来のガイダンス(3.5~4.7%増、5.11~5.17ドル)から上方修正し、
売上高が4.2~4.8%増、1株利益は5.24~5.27ドルという新しいガイダンスを提示。
株価は材料出尽くしで寄り天で下落してしまいました。
ホーム・デポ順調やねぇ。不動産王がこのへんの不動産価格が天井つって不動産売却してたけどDIY需要は堅調なのか。
Home Depot (NYSE:HD):Q3決算
EPS $1.35 beats by $0.03.
売上高 $21.82B (前年比6.3%増) beats by $60M
既存店売上高は5.1%上昇
売上総利益率は34.7(40bps増)
営業利益率は13.7%(130bps増)