ハーシー(HSY) – アメリカでチョコレートシェア45%

ザ・ハーシー・カンパニーThe Hershey Company)は1894年創業のアメリカの老舗チョコレート会社だ。今やアメリカのチョコレートの半分近いシェアをハーシーが占めている。

日本でよく売れているキットカットはネスレの製品だが米国ではハーシーが販売権をもっている。

アメリカで競争力あるポジション

シェアの維持の背景には積極的な広告投入と高い広告パフォーマンスもある。

ハーシーはチョコレートなどコア事業に注力している。

チョコ、キャンディ、ガム、ミントなどのConfectionカテゴリを主戦場としている。

ハーシーがコアとするカテゴリは年々成長している。

また、このカテゴリにおいてハーシーはトップシェアを奪還した。

このPEER AとはMARSのことである(次の項目で説明)

なかでもHERSHEYの原点であるチョコレートにおいては圧倒的な米国シェアだ。

このカテゴリ以外でもミートスナック(ジャーキー)のKraveの買収など多角化もはかっている。

MARSとの一騎打ち

上の2016年時点の米国でのシェアを見てもらえば分かる通り、主にチョコレートなど甘いお菓子において米国でHERSHEYの最も脅威となる競合はMARSだけだ。

MARSの製品で日本でよく知られているものはM&MとSNICKERSだろう。

米国でのMARS以外の競合

モンデリーズ(Mondelēz)がシェア5.3%で3位につける。リッツやオレオで知られるモンデリーズは世界シェアでは高いものの米国では低いシェア。

そのモンデリーズに並びLindt/Ghirardelliは同等シェア5.3%だ。リンツ(Lindt)はスイスのチョコレート企業で、日本でもリンツの店舗は多く出店されている。そのリンツ傘下のギラデリ(Ghirardelli)はアメリカの老舗チョコメーカーでギフト寄り。

リンツは米国のRussell Stover(ラッセル・ストーバー・キャンディーズ)を買収するなど米国での足場を固めている。

ネスレが撤退するほど競争過多な米国菓子業界

世界では強いネスレもアメリカでは(特にチョコレートで)シェアを大きく落としている。

ハーシーもチョコレート以外では苦戦している。

ネスレは競争の激しい米国市場でシェアを取るのは割に合わないと撤退を表明した。

逆にいえばその競争の中で米国で伸びているハーシーの特にチョコレートカテゴリでの底力を感じさせる。

この場合、ネスレの米国菓子事業をどこが取得するかが重要となってくる。

たとえばモンデリーズ(MDLZ)は2016年ハーシーに対し買収提案をしたが拒否されており、米国でのテコ入れのためにネスレの事業を取得することは利にかなう。

あるいは米国でシェアを取りたいMeijiや江崎グリコなど日本勢はかなりほしい事業だろう。

世界シェア争いではイマイチのHERSHEY

WHOなどの機関が砂糖削減圧力をかけたり、砂糖税などが導入されるトレンドでありながらも、世界の菓子需要は伸びている。

上の2016年の世界の売上高(Confectionカテゴリ)をみるとアメリカでハーシーと接戦で競いあっている世界No1売上高のあるMARSの強さがわかる。

この通りハーシーは海外ではなかなか苦戦している。特に中国で。

これは2015年に株式の80%を取得しハーシーの中国戦略のコアとした上海金糸猴食品(ゴールデン・モンキー)のディストリビューションがずさんで当初の目標を大幅に下方修正せざるを得なくなったため。

ハーシーは中国を第二のコア市場として力をいれているので今後の立て直しが注目されるが、中国ではネスレやフェレロがシェアを伸ばすなど厳しい戦いが予想される。

ちなみにロッテは韓国と日本でハーシーチョコレートの輸入・販売を担当しているパートナーで、中国においてもパートナーシップがあるのだが、軍事的問題に関しての中国のロッテボイコットの影響が懸念される。

海外動向に関しもう1点、MARSやモンデリーズ、ネスレの他に注目したい世界の競合はフェレロだろう。

フェレロ(Fererro)はイタリアの食品会社で日本だとnutellaが知られている。ヌテラ(Nutella)はパンにぬるココア入りヘーゼルナッツスプレッドで人気だ。

フェレロは近年、英国チョコレート大手ソーントンズを買収するなどチョコ業界でシェアを高めている。

HERSHEYの業績推移グラフ

Marginの拡大は良い指標

コスト削減がきいている。

もちろん売上が伸びていてこそなのだが、厳しい競争環境の中でも相対的にはうまくやっているように見える。

成長投資と自社株買い・配当のバランスが良い

潤沢なキャッシュフローの優先順位づけが鉄板。

その前提となる長期目標だが、高成長とはいえないものの

低成長でも自社株買いによってEPSを底上げしていくことは可能だろう。

これまで相当な自社株買いが行われている。

チョコレートの町 ハーシー

アメリカのペンシルベニア州にHERSHEYというチョコレートの町がある。

それこそがハーシー創業の地であり、HERSHEYチョコレートワールドなんていう施設まであったりする。

▼ハーシー株価

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