Everbridge, Inc.【NASDAQ:EVBG】
エバーブリッジは緊急イベント対策用プラットフォームSaaSベンダー。
自然災害、事件、紛争、動乱、サイバー攻撃、ITサービス切断など、安全が脅かされたり通常業務が遮断されるような脅威データを検知・集約しリスク評価した上で、脅威イベントに対し事前定義された通信プロセスを実行するプラットフォームを提供。
具体例をあげるとハリケーンや洪水時に影響のある住民を地理的に特定し一斉に警告を通知するなど、州レベルでの導入も進んでいる。
堅調な売上高推移。
サブスクリプション比率が96%と効率よく、顧客の平均契約期間が2年と売上の見通しが良い。
売上ベースの顧客維持率が110%以上とマイナスチャーン(解約よりアップセルが大きい)。
EverbridgeのCEM: 緊急の脅威イベント対策プラットフォーム
重要な脅威イベントの状況を認識し、統合プラットフォームでインシデントに対するワークフローを自動化、脅威イベントに関わる人々のコミュニケーションとコラボレーションを提供。
自然災害などで影響を受ける人々は数百万人に及ぶこともある。そういった脅威イベント発生時に即時に警告メッセージを配信する際にエバーブリッジのCEM(Critical Event Management)プラットフォームが利用されている。
重要な脅威イベントというのは洪水やハリケーン、火山活動、深刻な気象条件などの自然災害から、エボラや新型インフルエンザ、テロや暴動、事件、サイバー攻撃、ITサービスの切断・脅威、ブランド毀損リスク、サプライチェーンの問題など。
エバーブリッジのCEM(脅威イベント管理サービス)は、政府関連だけでなく企業向けにおいても企業の資産、従業員やITシステム、供給ルート、ブランドや評判まで脅威イベントを監視・検知し、関係者への影響をリアルタイムで警告し、あらかじめ定義されたワークフロー(問題の対応・解決のための手順)をアクティブにし、脅威対応の進捗状況を視覚的に追跡可能にしてくれる。
企業や政府にとって、重要な脅威イベントに対する組織の運用対応を自動化しスケール可能にすることは、人々の安全を確保し、稼働率を向上させることでリスク管理やトータルコスト削減につながる。
エバーブリッジは脅威イベント対策用に200以上の国や地域に15ヶ国語で100以上の異なる通知デバイス(SMS、音声、電子メール、デジタルサイネージ、サイレン、PCアラートシステム)による通知・支持を配信。
複数の通信手段を用意していることでスケーラブルかつ確実性の高い通信可能性を提供。
グローバル大企業が世界各国の従業員を1つのプラットフォームで安全を守り業務の障害を改善する際にも導入されている。
エバーブリッジのSaaSプラットフォームを利用する企業・政府関連組織など顧客数は2018年3月末時点で3811(前年同期は3318)。
米国の10大都市のうち9都市、北米の空港TOP25全て、世界の自動車メーカー大手10社のうち6社にエバーブリッジのサービスが導入されるなど、かなりの存在感を発揮している。
それでもエバーブリッジの売上高は米国比率が89%と高い。
ただ、米国外売上高比率は前年度が9%で今年度は11%、つまり国際事業は前年度比で60%以上成長しており、ノルウェー拠点の同業企業UASを買収したことで海外比率も今後は上がってくるだろう。
重要な脅威イベント発生に備えているのといないのとでは大違いで、エバーブリッジを利用することで事前定義されたワークフローを自動化し、全ての脅威イベントを可視化し進捗をコントロール可能にしてくれる。
脅威を通知することはそこまで特別なことではない。しかし、脅威しきい値を適切に管理し、脅威に影響のあるエリアや関係者を限定して効果的に、しかもリアルタイムで脅威を検知して安定的に大規模即時通知し、1つのプラットフォームで統合的に進捗状況を管理し、複数言語でグローバルレベルで効率的に対応策をデータドリブンでコラボレーション可能にすることは難しい。
さらにクラウド時代では従業員はオフィス以外の場所で働くことも増えてきている。そこで実際の従業員の場所に基づいた通知を行う手段をエバーブリッジは提供している。
SaaSベースのサブスクリプションモデルなので導入しやすく、複数のプロダクトのクロス・アップセルも成長ドライバー。
またプラットフォーム戦略の鉄板のエコシステム形成としては人材管理(HR)システムやCRMのSalesforce、カスタマーサポートのZendesk、Amazon S3、コラボレーションツールのアトラシアンのアプリケーションでEverbridgeの重要な通知プロセスを簡単に組み込むことができる。
エバーブリッジの業績推移グラフ
エバーブリッジ決算まとめ
✓ 災害・事件時に組織と人を保護する緊急イベント対応用プラットフォーム
✓ 大企業だけでなく米軍、IMF、NASAなども利用しているhttps://t.co/L7D6hQdIed
— 米国株 決算マン (@KessanMan) 2019年5月7日
SaaSの40%ルールを満たしている企業と比べるとマージンが安定していないなど少しパターンが異なる。
セールス&マーケティングは絞らずに攻めの姿勢か、あるいは”啓蒙が必要”な領域なので絞れないのが実情かもしれない。
Everbridgeの株価
株価は上場以来4倍近く右肩上がりで高騰しており、さすがに割安感はなくなってしまった。
事業の性質上、セキュリティ企業に近い業績推移を示す可能性があるため、不景気耐性が発揮される可能性もありそうだ。
紛争リスクに備えて軍需企業株を買う人もいるだろうが、そういったマッチポンプタイプの企業に心理的に投資するのを避けたい人にとってはこういった脅威イベント時にサービスとしての真価が発揮される企業もあるということは知っておきたい。
メモ: Revenue retention rate
2013年 112%, 2014年 111%, 2015年 112%
エバーブリッジの決算を時系列でまとめる
<Everbridge ’19 Q1決算> 2019/5/6
EPS(Non-GAAP) -$0.15 予想 +$0.03
売上 $42.8M (+40.3% Y/Y) 予想 +$0.57M
<Everbridge ’18 Q3決算> 2018/11/5
売上 $38.9M (+42.5% Y/Y) 予想 +$0.82M
Non-GAAP EPS -$0.10 予想 +$0.02
米国防総省の軍事通信・戦闘支援情報処理・ホワイトハウスの情報システムの監督部門であるアメリカ国防情報システム局(DISA: U.S. Defense Information Systems Agency)からLevel2認定を取得。
JARVISS (Joint Analytic Real-Time Virtual Information Sharing System)に脅威可視化ソリューションを提供することを発表。米軍の軍事施設などのリアルタイムの脅威警告可視化など世界的な脅威情報共有システムを構築か。
<Everbridge ’18 Q2決算> 2018/8/6
EPS -$0.18 予想 +$0.04
売上 $35.8M (+43.1% Y/Y) 予想 +$1.63M
エバーブリッジ決算
Everbridge (NASDAQ:EVBG) Q2
EPS -$0.18 予想 +$0.04
売上 $35.8M (+43.1% Y/Y) 予想 +$1.63M買収で欧州に進出、スウェーデン全人口にリーチする緊急警報システムを拡大。
災害など脅威イベント時の緊急情報配信SaaShttps://t.co/0FJq1ThmRzhttps://t.co/KQQyUOMGDA pic.twitter.com/5wOjbDbRrs
— 米国株 決算マン (@KessanMan) August 7, 2018
顧客数は4158に増加(前年同期3201)
<Everbridge ’18 Q1決算> 2018/5/7
EPS -$0.17 予想 +$0.03
売上 $30.5M (+33.5% Y/Y) 予想 +$0.89M
エバーブリッジ決算<5/7>
Everbridge (NASDAQ:EVBG) Q1
EPS -$0.17 予想 +$0.03
売上 $30.5M (+33.5% Y/Y) 予想 +$0.89M<解説>
米国10大都市の9都市、北米TOP25の空港すべてで導入されている、SaaSベースの緊急の脅威イベント対策プラットフォームhttps://t.co/0FJq1ThmRz pic.twitter.com/UUuLWzTSMa— 米国株 決算マン (@KessanMan) May 15, 2018
SaaSベースのMass Notificationソリューションを提供するノルウェーの同業企業Unified Messaging Systems ASA (UMS)を買収している。
UMSは関連特許を多数保有しており、この買収により北欧の1000以上の公共・民間顧客にリーチし、エバーブリッジの欧州戦略を補完することができるようになった。
なおQ1決算の売上高にはUMSの影響は含まれていない。