Electronic Arts, Inc.【NASDAQ:EA】
エレクトロニック・アーツは1982年創業の米国のゲームパブリッシャー。
サッカーゲームのトップブランドFIFA(EA SPORTS)、人気FPSバトルフィールド、人生シミュレーションゲームのザ・シムズといったゲームブランドを展開。
ゲームのパッケージ販売からデジタルシフトするEA
2012年は7割の売上がゲームソフトのパッケージ販売、つまり小売店などで見かけるゲームソフトを手にとって買ってもらう販売形式が主流だった。
そしてダウンロード販売や追加コンテンツをオンライン配信し課金するなどのデジタルチャネルが現在はメインになってきている。
デジタル転換の利点はグロスマージンが改善することで、流通経路が効率化し、既存顧客への追加販売などがしやすい。
たとえばEAの人気FPS「Battlefield1」は従来のようにパッケージ買い切り型ではなく、追加コンテンツ(DLC)をダウンロード配信し販売する方式で、既存顧客に対する継続的なアップセルを実現している。
パッケージが減速しているが、デジタル売上高の推移に注目。
2018年3月末時点でデジタル・ブッキング比率は68%にまで上昇している(前年比17%増の成長)
デジタルシフトの中身についてだが、ゲームをダウンロード販売して終わりのような販売方式ではなくSaaSのように、つまりGaaS(Game as a Service)のようなサブスクリプション(継続課金)比率を増やしていきたいとEAのCEOは決算カンファレンスコール(’18 Q4)で言及していた。
ゲームコンソール企業であるソニー(PlayStation)も任天堂(Switch)も部分的にサブスクリプション転換しており、むしろEAのサブスクリプションへ転換への注力はかなり遅かったくらいだ。
EAに懸念があるとしたらゲーム事業全体に対するモバイル比率の低さだ。
世界のゲーム市場をみると、初めてモバイル比率が半分を超え、スマホゲームアプリが最も伸びている。
世界のゲーム市場、初めてモバイルが半分を超えた。
スマホゲームアプリが最も伸びている。
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— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) May 7, 2018
モバイルがゲーム市場で最も成長しているにも関わらずEAは存在感に乏しい。しかもEAのモバイルゲームの伸びは弱い。
2016年のアプリ収益における世界トップ52社
世界最大のゲーム会社でもある中国テンセントが初めて首位を獲得し(前年6位)、中国NetEaseは昨年の9位から3位まで順位を上げた。
2位のスーパーセルもテンセント傘下なのでワンツーフィニッシュ。
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— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) December 25, 2017
EAはモバイルでは世界13位。スマホゲームのキングは中国テンセントと中国ネットイースなのだ。
EAのスマホゲームはSimsや基本無料のスター・ウォーズ/銀河の英雄(課金要素有り)が主力だ。
EA SPORTS: EAの強みはスポーツジャンル
モバイルに弱いEAだが、スポーツゲームは(将来は分からないが)スマホよりもスポーツを大画面で迫力を楽しむように迫力面ではPCやコンソールにまだアドバンテージがある。
EAはFIFA 18やMadden NFL 18、NBA Liveなどの強力なスポーツゲームブランドを展開している。
eSports(electronic sports:対人ゲームを競技的に大会を運営する)市場が成長しているが、JリーグやFIFA公式も「EAのFIFA 18」でeSports大会を開催したりしている。
パッケージ時代は存在感があったEAだが、スマホゲーム時代には出遅れた感はあり、EAのFPSのバトルフィールドシリーズのライバルの人気FPS「CoD: Call of Duty」を手がけるアクティビジョン・ブリザードはスマホゲームのキャンディクラッシュを買収しており、キャンディクラッシュは今でもダウンロードランキング上位にいる。
テンセント子会社のEpicGames開発の話題のゲーム「フォートナイト」が儲かってる。
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参考: Fortniteの成長推移https://t.co/A6nVKUbkty pic.twitter.com/U3dG6XHIcf
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↑でもキャンディクラッシュが意外と稼いでいることが分かる。
他に米国のゲーム会社としてはGTAのテイクツー・インタラクティブ・ソフトウェアもおり、Take2もGTA(Grand Theft Auto)では追加コンテンツ配信による課金要素中心にデジタル転換している。
エレクトロニックアーツの将来的な方針としてはデジタル・サブスクリプションの加速、プレイヤーネットワークの加速をかかげている。
エレクトロニック・アーツの業績推移グラフ
金融危機頃になかなかひどい業績となっている。まっさきにカットされる支出だから仕方ない。
売上はやや横ばいだがビジネスの中身としてはパッケージからデジタル転換しグロスマージンが上昇していることが分かる。
エレクトロニック・アーツの株価
スマホゲーム業界はバトルロワイアル・ゲームがブーム化していたが、EAはこの流れに絡めていない。
今、バトルロワイアルゲームがブーム。
話題のPUBG(中国における独占運営権をテンセントが取得、さらにPUBGのスマホ版を開発)より勢いのあるフォートナイト(テンセント子会社のEpicGames開発)に注目。どっちが勝っても世界最大のゲーム会社テンセントに恩恵。
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— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) April 10, 2018
エレクトロニック・アーツの決算を時系列でまとめる
<Electronic Arts ’19 Q2決算> 2018/10/30
EPS $0.83 予想 +$0.45
売上 $1.29B (+34.5% Y/Y) 予想 +$110M
Bookings $1.22B 予想 +$0.06B
<FY2019ガイダンス>
Net bookings $5.2B (予: $5.26B)
FIFAモバイルのデイリーアクティブプレイヤー数が前年同期比+50%増
エレクトロニック・アーツ決算
Electronic Arts (NASDAQ:EA) Q2
EPS $0.83 予想 +$0.45
売上 $1.29B (+34.5% Y/Y) 予想 +$110M
Net bookings $1.22B 予想 +$0.06Bガイダンスが予想を下回り株価は時間外で-5.5%
FIFA19やBF1等のゲーム会社大手https://t.co/qdY7uHIo3s
PDF: https://t.co/eG3B3GiVi7 pic.twitter.com/uGdnEH1ben— 米国株 決算マン (@KessanMan) October 31, 2018
<Electronic Arts ’19 Q1決算> 2018/7/26
EPS $0.95 予想 +$0.22
Bookings $749M (-3.4% Y/Y) 予想 +$6.58M
<Electronic Arts ’18 Q4決算> 2018/5/8
EPS $1.95 予想 +$0.12
売上 $1.58B (+3.3% Y/Y) 予想 +$350M
エレクトロニック・アーツ決算
Electronic Arts (NASDAQ:EA) Q4
EPS $1.95 予想 +$0.12
売上 $1.58B (+3.3% Y/Y) 予想 +$350M<解説>
FIFA、バトルフィールド、ザ・シムズなどのゲームパブリッシャー。スマホゲームでは出遅れたがデジタル転換中。https://t.co/qdY7uHqMES pic.twitter.com/tvXiq8uZaM— 米国株 決算マン (@KessanMan) May 9, 2018