Coupa Software, Inc.【NASDAQ:COUP】
クーパ・ソフトウェアはクラウドベースで経費管理・企業間調達プラットフォームを提供するSaaSベンダー。
オンプレミス(インストールして自社運用)の経費管理システムよりスケーラビリティに優れ、買収などによってつぎはぎだらけの複雑なシステムと違い初めからクラウドネイティブな統合プラットフォームでどこでも簡単に使えてAPIによる接続も充実していることで導入が進んでいる。
サブスクリプションモデルの経費管理・企業の調達SaaSとして伸びている。
企業の節約に特化した統合プラットフォームを提供
顧客関係管理のセールスフォースが営業やマーケティングなどのフロントオフィスなら、クーパソフトウェアは経費管理や調達、請求書・在庫管理などのバックオフィスのプラットフォーム。
従来の複雑でバラバラな調達・請求書作成・在庫管理・経費管理などのアプローチを、Coupaはシンプルな統合プラットフォームによって使いやすくしている。
顧客もエアバス、ユニリーバ、P&G、バクスター、モンデリーズなどグローバル企業が連なる。
クーパの測定可能なソリューションによって経費削減をはっきりと実感することができると顧客の成功例がクーパのサイトに何十社も体験談が掲載されているので導入検討企業は参考にするといいだろう。
ERPは細分化へ
ERP(Enterprise Resources Planning)もワントップってことはなくなってきた。 pic.twitter.com/d2ZREuG1f1
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) April 17, 2018
調査会社フォレスター・リサーチは「ERPの時代は終わった。」という。
ERPは特化型のベストソリューションによって分割され、APIベースの分散型パートナーシップによる新時代が到来している。
ERP(Enterprise Resources Planning)とは?
企業経営のベースとなる企業資源要素(人財・モノ・金・情報)を効率的に活用するための企業リソースの見える化のための企業の統合基幹業務パッケージ
https://www.americabu.com/workday
Coupaは経費管理システム・企業間調達SaaSとしてベストな存在として台頭してきた。
というのも、ほとんどのERPベンダーの調達、請求書や経費モジュールは古くさいものとなっており、それらのほとんどは買収によって後付けでつぎはぎ的に統合されているため複雑で使いやすいものではなかった。
Coupaは初めからクラウド型でシームレスで統合的なプラットフォームを構築したので、使いやすさに定評があり、組織内のすべてのユーザーが簡単に(習熟目安は1時間と言われている)作業を完了できるようになっている。
さまざまなカテゴリー、部門、地域、システムを横断する1つの使いやすい統合プラットフォーム上でバイヤー(購買側企業)とサプライヤー(供給側企業)を結びつけており、一元的な調達業務、請求書作成、在庫・契約・経費管理を可能にし、支出の全体を可視化。
無料で登録可能なサプライヤーポータルによってサプライヤーにとってもセルフサービスのサプライヤー情報やカタログの掲載、請求書の送信、ステータスの更新を電子化し、B2B商取引の効率を向上し取引コストを削減することができる。
最大規模のプレイヤーに限っていえばフロントオフィスとバックオフィスまわりは、顧客関係管理のセールスフォース、人材管理のワークデイ、サービスマネジメント・ワークフロー自動化のサービスナウ、そしてレガシーではあるがクラウドへ移行中のSAPとオラクルといった感じだ。
クーパソフトウェアは経費管理・調達等に特化し、ERPやその他のサードパーティーシステムとの統合も容易だ。
Amazon Businessもパートナー。
クーパのオープンAPI統合プラットフォームであるCoupaLinkを使用して、エンタープライズアプリケーションをシームレスに統合でき、エコシステムを形成している。
膨大なサプライヤーネットワークが形成され、コミュニティも充実しておりネットワーク効果が拡大している。
クーパ・ユーザーコミュニティによってサプライヤーの評価が蓄積されている「Supplier Insights」によって最適なサプライヤーを探しやすくなっている。
サプライヤーを適切に選ぶことによって調達コストを下げることができる。
調査会社のレポートでも調達においてCoupa Softwareはリーダーとして評価されている。
2012年にERPベンダー大手のSAPがクーパと同様のクラウドベースのビジネスコマースネットワーク企業Ariba(アリバ)を総額43億ドルで買収している。
SAP Aribaがクーパにとって最大の競合だ。なお、SAP傘下にはSAPに2014年に買収された出張費管理・経費清算SaaSのSAP Concur(コンカー)もいる。レガシーのSAPもちゃんとクラウド時代に手をうっているわけだ。
しかし初めからクラウドベースで構築されたクーパのシンプルさには勝てないのか差がついてきているように見える。
クーパのIR資料からも挑戦的な目標を掲げ、Aribaは古いと言わんばかりだ。
クーパソフトウェア自体が認知度がまだまだ低く、TAMへのアクセスはまだ入り口だろう。
クーパ・ソフトウェアの業績推移グラフ
すでにフリーキャッシュフローマージンがプラスになっており、PERで評価できない企業のマッピングに役立つSaaSの40%ルールで見ても、クーパソフトウェアの売上成長率+FCFマージンは優良企業判定できる。
Coupa Softwareの株価
クーパソフトウェアの売上成長率やマージンなど四半期ごとの決算の最新情報のアップデートは以下の記事で特集している。