Avalara, Inc.(NYSE:AVLR)
アバララはクラウドベースの税務コンプライアンス自動化ソフトウェアを提供するSaaS企業。
消費税、付加価値税、販売税、宿泊税、通信税など連邦税や州・地方税ごとの複雑なコンプライアンスの問題をかかえる企業のためのクラウドベースのソフトウェアを提供。
「焼いたベーグルには課税するが焼いてないベーグルには課税しない…」などという超細かい税務コンプライアンスに自動的に対応するためのシンプルなソリューション
米国だけで税務関連を含む1万2000もの規制があり、しかもそれが頻繁に変更され、各州・地方でバラバラだ。
ニューヨークのベーグル税は、Avalaraのようなクラウドベースのソフトウェアのニーズがなぜあるのかが分かりやすい象徴だろうか。
ニューヨークではトーストした、またはスライスしたベーグルは課税されるが、スライスしてないベーグルには課税されない。ベーグル以外のスライスしたパンは非課税にも関わらず。
特にデジタルでは州や地方関係なくグローバルな取引が増加しているが、アイオワ州では課税されないデジタル音楽のダウンロードがニュージャージー州では課税されるなど、企業はその取引ごとにタックス・コンプライアンス要件を満たし、それを証明しなければならない。
当然、納税義務を遵守しなければ罰金が徴収され、そういった税務コンプライアンスについて心配することなく、事業に集中できるようにAvalaraがサービスを提供しているというわけだ。
特に小規模企業はこれら取引に関連した課税対象の税金の計算、納付・還付、納税記録の管理などの税務作業を未だに紙で手作業で行っていたため、Avalaraの取引ボリュームに応じたサブスクリプションサービスによる自動化でかなりの効率化(と従来の担当者の人件費の削減)を手助けできた。
Avalaraのクラウドサービスは規模の小さな中小企業にはセルフサービス的にWebベースで提供している。
また、大企業向けでもこういったソフトウェアをオンプレミス(自社管轄のサーバにインストールが必要なやつ)で提供してきた企業を、Avalara Compliance Cloudによって置き換えながら成長してきた。
Avalaraの業績とKPIを整理
Avalara決算まとめ
✓ 主に米国の複雑な税コンプライアンス自動化ソリューション
✓ ShopifyやERPや主要ビジネスアプリケーションなど700以上と統合
✓ ECにおける需要拡大の追い風を受け成長https://t.co/ojpUEWmR8B
— 米国株 決算マン (@KessanMan) 2019年5月12日
詳しくは上記noteでまとめている。
以下、初回投稿時の内容。
かなりの販管費をかけながらも最近IPOしたSaaS企業にしては売上成長率が物足りないところではあるが、既存顧客維持率をみるに一度導入したらめったに解約しないようなビジネスではありそうだ。
ただ、売上の94%が北米で、米国固有の事情にかなり影響をうけそうなリスクがある(規制緩和など)。
単独でスケールしていくにもビジネスの土台がセカンダリ的なレイヤーにあるため、クロスセル余地もなかなか難しそうだ(ERP領域は特化SaaSが爆誕している)。
もちろん市場規模(TAM)が80億ドルあるというAvalaraの見積もりをふまえると、浸透率からまだ伸び余地はある。
そもそも他の領域に比べまともなIT化が進んでいないタックス・コンプライアンス領域だったので自動化の恩恵は大きい。
コア顧客企業数: 顧客数でいえば全体の半分以下だが売上の85%を占める一定以上の導入規模(3000ドル)の顧客数をKPIとしている。
既存顧客維持率: 1年以上の契約期間が経過したアカウントで計算されアップセルなども含まれる。
Avalaraの費用コントロールとトップライン成長のバランスは今の所できているように見える。
2004年に最初のソリューションである税務コンプライアンスソフトウェアの「AvaTax」を開始。
クロスセルのサービスとしては税務コンプライアンス文書の保管・管理をクラウドでできるサービス(Boxなどに比べた優位性は未調査)などを提供している。
また、すでにいくつかの競合企業を買収している。
2016年の買収:
ブラジルのGyoriを2170万ドルで買収。
2015年の買収:
ベルギーに拠点を置くVATのコンプライアンスに強いVAT Applicationsを1650万ドルで買収。
通信税の税務コンプライアンスに強いEZtaxを2810万ドルで買収。
宿泊税の税務処理の自動化に特化したHotSpotを910万ドルで買収。これはAirbnbやHomeAwayなどの民泊の広がりが追い風。
Avalara Compliance Cloudは、SaaS企業の定番のコネクティビティも発揮し、POS端末、会計、CRM(Salesforceなど)、主要ERPシステム、サブスクリプションサービス、ECなど、600以上の他社の業務アプリケーションとの事前構築された統合でカスタムコストを削減し、トランザクションデータを一元管理し、企業の税務情報を1つのクラウドベースのプラットフォームで包括的に扱う。
Avalaraの株価
金曜にIPOし、87%上昇したSaaS企業があったので調べた。
一言でいえば、NYで、焼いたベーグルには課税、焼いてないベーグルは非課税などという複雑な税制にry
Avalara【NYSE:AVLR】州・地方ごとの複雑な税コンプライアンス対応を自動化するクラウドベースのソリューションhttps://t.co/Dn3xK1WnFi pic.twitter.com/Y9S5FEZPTY
— 世界の株価チャート・ノート (@WorldChart_note) June 17, 2018
IPOした日に87%も株価が上昇。最近のIPO環境が温まってる感はんぱない…不安になるね。
アバララ、ドラクエの呪文あるいは街の名前みたいな社名だが、おそらくまだ日本の主要ネット証券会社では取り扱っていないのでは。
SaaS(Software as a Service)は所有からサービスとしての利用の時代にフィットしたビジネスでめちゃ好きで自分も多く保有しているけどhttps://t.co/FJp4S3p33Q
一応マルチプルは警戒したい水準である点は注意。
Source: https://t.co/JxWL2Lft7O pic.twitter.com/OQCza8mIXx
— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) June 9, 2018
アバララの決算を時系列でまとめる
<Avalara Q1’19決算> 2019/5/7
EPS(Non-GAAP) -$0.01 予想 +$0.15
売上 $84.97M (+38.4% Y/Y) 予想 +$6.3M