Anaplan, Inc.(NYSE:PLAN)
アナプランは財務計画・分析(FP&A)、サプライチェーンの計画、販売報酬など企業の事業計画立案・分析のためのプラットフォームを提供するSaaS企業。
Anaplan=Analytics(分析)+Planning(計画) の社名の通りFP&Aに特化して成長し2016年にはユニコーン企業入りし頭角を現してきたが、2018年10月に米国でIPO。
サブスクリプション・モデルで急成長している。
Anaplanの財務計画・分析ソリューションとは?
<顧客企業の悩み>
いまだに多くの企業が計画立案・予算編成・分析とレポートにスプレッドシートを利用しているが、そのような従来の計画立案では、スピードが遅く、不正確でエラーが発生しやすく、複雑化によってシステム化から漏れた計画業務がスプレッドシートによって属人管理され、断片化されて、集計に時間を要し、全体進捗を追いにくかった。
<Anaplanのソリューション>
- リアルタイムに情報連携・データ反映し迅速な意思決定を支援
- 計画業務をクラウド上で自動化・標準化し、自動集計などによってスプレッドシートの手作業によるミスを抑止
- どのような種類のデータでも(非構造化データも)取り込むことができる業界標準のデータ統合技術
- 各部門の処理に特化した業務アプリを開発しており、既存の計画プロセスをソフトウェアに合わせる必要がほとんどなく計画・実績管理業務の精度向上・短サイクル化
- Anaplanだけでなくパートナー企業もアプリプラットフォームで業務テンプレートを提供し、顧客も独自アプリをAnaplan上でコーディングなしで容易に構築可能なカスタム性
財務だけでなく組織全体でデータ、人、計画をつなげる”コネクテッド プランニング“を実現する、クラウドネイティブな計画立案、分析プラットフォームそのものを提供。
ガートナー調査のCloud Financial Planning and Analysis Solutionsでアナプランが強いことがわかる。
クラウドベースのFP&A(Financial Planning & Analysis)、つまりクラウド上で業務管理・財務計画の立案や、生産・販売状況・財務データを収集・分析・予測を行う業務ソリューション。
他に競合はオラクルや、人事・財務SaaS大手のワークデイが買収したAdaptive Insights(アダプティブインサイツ)
戦略的CPM(企業実績管理)でもアナプランは市場リーダーとして位置している。
ガートナー調査のSCPM(Strategic Corporate Performance Management)
戦略的CPMソリューションとは何か?というとガートナーの定義によると、複雑かつ統合された財務予算とプラン、モデリングと分析を容易に利活用・実装でき、保守とアップデート・大企業レベルのスケーラビリティをデリバリするソリューションとのこと。
CPMに関してAnaplanはリーダー企業として存在感があることはSaaS他社の資料からも発見できる。
たとえばIT投資・IT支出のコスト最適化SaaSのApptioの資料からAnaplanはAdaptive Insightsやオラクルが2007年に33億ドルで買収した経営管理ソリューション Hyperion(クラウドサービスは2014年にOracle Planning and Budgeting Cloud Serviceとして発表)と共に並んでいる。
立ち位置がわかりやすい。
さらに経理・財務業務自動化SaaSのBLACKLINEの資料からは計画立案部門で単独でAnaplanが登場。
他社の資料から特定のジャンルで代表例として挙がってくるところはやはり強いところが多く、マインドシェアもおさえている。
さて、その他の調査も見てみよう。
SPM(セールス・パフォーマンス・マネジメント:販売実績管理)では以下の通り
ガートナー調査によるとSPMの市場リーダーはSAPが2018年に買収したCallidusCloudで同社はクラウドベースの人事管理ソフトウェアや営業ソフトウェア、見積から請求管理までのシステム、マーケティングソフトウェアなどを提供し、クラウドを買収で補強するSAPの他にオラクルやIBMなどのレガシー企業とアナプランは競争している。
Anaplanのプラットフォーム戦略
Anaplanでは、顧客がビジネスアプリをコーディングなしに簡単に構築することも可能。
Anaplan App Hubとは?
パートナーや顧客自身でも、ニーズに応じてカスタムアプリをAnaplan上で構築、共有、デプロイすることができるプラットフォーム。
App Hubにはアナプランのグローバル戦略的パートナーであるPwCやデロイトなどが並ぶ。
たとえばPwCが開発した高度な将来予測や経営判断を実現するための業務テンプレート「PwC’s Enterprise Performance Management Suite」をAnaplan App Hubに構築し、企業の経営管理をサポートするソリューションをパートナーとして提供している。
業務テンプレートの内容としては事業計画策定、予算編成、業務計画作成、実績・マスタ取り込み、予測作成、リスクモニタリングの6つで業務改善や意思決定などの経営管理を支援。
こういった企業のニーズにあったシステムを短期間で稼働できるプラットフォームをAnaplanは展開している。
アナプランの業績推移
売上ベースのネットエクスパンションレートは高止まり安定。顧客企業の利用の拡大がしっかり。
サブスクリプションのグロスマージン(Non-GAAP)が直近1年は下がった状態で横ばい。
販促費にドライブかけている。FCFマージンは改善傾向ではあったが足踏み。
<アナプランの株価>
アナプラン創業者マイケル・ゴールド氏が2006年に英国ヨークの石造りの納屋で起業、5年の準備期間を経て2011年から本格的に営業開始(本社も米国サンフランシスコに移している)。
Salesforce Venturesなどが出資していた。
競合で企業業績管理(CPM)やビジネスプランニングをSaaSで提供するAdaptive Insights(アダプティブ・インサイツ)がクラウドHCMで強いWorkdayに買収され、クロスセリングの機会を拡大していることもあり、Anaplanにとって競争の激しい領域でもある。
時価総額が小さく、基本的に戦略的買収ターゲットになりやすい性質の企業だろう。
SaaSは多くの企業がベスト・オブ・ブリード的に連携しながら成長してきたが、いずれ競争領域が重なっていき徐々に買収・合併で陣営が形成されていくと予想している。
アナプランの決算を時系列でまとめる
<Anaplan ’19 Q3決算> 2018/11/28
EPS -$0.18
売上 $62.01M +40.3% Y/Y
請求額 $72M +43% Y/Y
PC大破して色々大変だったのも落ち着いて、ようやく記事が書ける環境になりました。
アメリカ部は自分の調査用・備忘録のために書いています。とある理由によって方針を変更するので、今後その傾向をさらに強化して薄い記事が続くと思われますが、ご容赦ください。
久しぶりに書くので改めて書いておくと記事は決算見てとりあえず調べておくかと思った企業をピックアップしているだけで、タイミングもなく買い推奨もなく、投資判断としてマルチプルをいちいちチェックして割安だの割高だの判断するようなブログではないのでご注意ください。
また、ミスがあることもあります。ここはこうだよ、とかそれは違うよ、といった箇所、あるいは見ている他の人に役に立ちそうな補足事項などありましたらコメント欄で投稿していただけるとありがたいです。
教えたいから投稿しているのではなく知るために投稿しているので、もっと当該企業に詳しい人の補足を緩募。
「これまでのキャリアで学んだ最大のことは全てを知らなくても良い、聞くことができるということだ」
― ServiceNow創業者