American Expressの創業は1850年と古く、アメックスと親しまれるブランド力のあるクレジットカードを発行している、NYダウ30種平均には1982年8月30日に採用される。
社名がExpressなのは創業時は荷馬車運送業者だったことから(後にトラベラーズ・チェック事業を始めたのは1891年で、クレジットカード事業に参入したのは1958年)。旅行関連金融サービスなどを含め米国の売上高が7割を占める。
アメリカン・エキスプレス業績推移グラフ
決済手数料ビジネス部分のみのVISAやMastercardとは異なり、アメックスは発行体であるため世界金融危機では貸し倒れが急増し経営状況が悪化、株価は大暴落することになったが筆頭株主であるウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイは持ち株を売ることはなかった。
アメックスが発行するクレジットカードの最高ランクであるセンチュリオン・カード(ブラックカード)が富裕層のステイタスとされている。実際カード会員の年間平均利用額はVISAやMastercardの倍以上(AMEXは1万1600ドル Visaは4100ドル MasterCardは3300ドル – 2015年時点)世界で1億人以上のAMEXユーザーのほぼ全員から年会費収入を得ている。
アメックス株価チャート
2014年:オンライン旅行予約事業との競争激化により法人向け旅行サービス事業の半分を売却
2015年:無視できない売上高比率を占めていたコストコとの独占契約をVISAに奪われる。
Appleの決済プラットホームApple Payでもアメックスは対応しています。
競合企業一覧
VISA(V)
―Visa Inc
マスターカード(MA)
―Mastercard Inc
ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ(DFS)
―Discover Financial Services
みんなの投資分析とコメント
コストコの独占がはがれる発表があってから株価崩れまくってますね。売上高のうち8%でしたっけ?コストコ部分。
サブプライムローン付近からの株価暴落がトラウマなので今の米国市況を考えると逃げ出したくなる気持ちはわかりますが、悪材料はけっこう出尽くしたという見方もできますし景気が折れないならチャンスですね。素直にVやMA買った方が報われるのかな…迷う。
バフェットがアメックス売却しないのは含み益がとんでもなく巨額だからというのもあるでしょうね(税繰り延べ効果をとったという意)。
含み益がなかったらさっさと乗り換えているような気もする。
法人向け旅行事業の半分を売却したという半分というのがよくわからなかったので調べたところ、相手がサータレス、カタールの政府系ファンド等の投資家グループに法人旅行部門の株式50%を9億ドルで売却したというやつですね。
アメックスはセルタレス・インターナショナル・バンクとカタール・ホールディング率いる投資家グループと合弁事業を立ち上げてアメックスブランドで共同事業を展開するということですね。
1位 VISA
2位 マスターカード
3位 アメックス
という決済高ですがさすがにビジネスモデルの違いもあって1位と2位からかなり差がついていますね。
クレジット利用者の支払い代金の肩代わりをするカード発行事業者ですから、またリーマン・ショックのような金融危機があったら貸し倒れリスクもありますし、富裕層顧客中心にも関わらずあのような状況になったのですから、これ以上顧客ランクを下げて手広く展開するのもリスクがあります。
富裕層のステイタス、といったイメージを損なわないようにやっていかないと苦戦していくように思うのです…
ただ参入障壁が極めて高い業種なので、魅力的なビジネスです。
景気低迷の株価暴落時に買うならVISAよりAXPでしょうか。
アメックスの決済高の8%を占めるコストコとは2000年からずっと独占契約を結んでいたのにね…
2016年4月にコストコのクレカ決済の独占提携を契約更新せず、と。
でもよく考えれば予期できたことではあったよね。コストコって別に富裕層のためのシステムではないし。アメックスだけとか不便だったから。
アメックスじゃなきゃダメな理由、がなくなってきて、単純なネットワーク効果(使う人が増え、使える場所やシーンが増える)としてVISAの優位性がより高まっただけでしたね。
AXP 2014 Q4 決算 10.7%の増益だがコンカー売却益が寄与したまで
純利益: 1株当たり1.39ドル
予想: 1.38ドル
前年同期: 1.21ドル
売上: 91億700万ドル(6.6%増)
予想: 85億3000万ドル
▼米国カード・サービス部門
純利益: 前年同期比23%減
売上: 5%増(会員の支出額は増加)
▼海外カード・サービス部門
純利益: 前年同期比68%減
収入: 5%減(ドル高がひびいた為替変動を除けば3%減)
出張管理や経費精算のSaaS型クラウドサービスを企業に提供するコンカー・テクノローズをAXPは業務提携し保有していたのですが独SAPに売却したことでその売却益7億1900万ドルが決算に寄与したのが大きく、実際はこのようにカード部門がイマイチですね。ということで2015年中に4000人超(全社員の6%)を追加削減する方針。
多角化のためにかビッグコマース(電子商取引プラットフォーム)、ショップランナー(電子商取引としてアマゾンのライバルに育つか?)に投資してますね。
コンカーの保有と業務提携は良かったと思いますし、ブランドを守りながら多角化していくのがいいんですかねぇ…
富裕層向けブランドイメージを維持していたとしても限界があると思われます。富裕層向けカードビジネスはJPモルガンの参入などで現在競争激化の一途。ただ、アメックスが何を目指してるのかよくわからないという迷走感は…よくいえば多角化。
2012年にウォルマートと共に銀行に口座を持たない低所得者層向けのプリペイド・デビットカードであるブルーバードカード(Bluebird)をリリースしましたが依然この事業は赤字なのが気になります。競合するプリペイド最大手グリーンドット(Green Dot)等のプリペイドと違い維持費などの手数料が無料だから先行投資ということでしょうが。
プリペイド市場はまだニッチなものの市場としての伸びは高く、アメリカンエクスプレスが参入したブルーバード新規顧客のうち8割がアメックスを利用したことがない顧客(そりゃウォルマートですから…)ということなので、これから期待ですかね。
さらに2015年5月からプレンティ(Plenti)と呼ばれるポイントプログラムを始める模様(日本でいうPontaとかnanacoポイントとかTポイントがメーシーズやAT&Tやhuluやエクソン・モービルのガソリンスタンドなどの提携企業サービス利用でたまる)。
コストコの独占契約を2016年3月に失うこともあって、最近はアメックスの動きもなりふりかまわず必死感があります。米国比率が7割以上と海外シェアの開拓余地はあると思うんですが。
アメックスのQ3決算まったくダメですね。
EPS $1.24 市場予想 $1.31
売上高 $8.19B (前年比-1.4%) 市場予想 $8.32B
コストコの契約を失ったためにそれを補うための営業費用を増額しています。
Plentiとかアメックスのブランドを毀損するようなプロジェクトとか迷走ぎみですが、経営者交代してほしいです。
バフェット銘柄さいきん不調もいいとこですね。アクティビストみたいにバフェットが株主として圧力かけないと。