Pivotal Software, Inc. (NASDAQ:PVTL)
ピボタル・ソフトウェアは企業のソフトウェアの構築方法を変革するプラットフォームを提供するベンダー。
企業のデジタルトランスフォーメーション圧力は日に日に高まっており、Pivotalはその変革を支援する企業。
企業のデジタル・トランスフォーメーション圧力
サービスナウやアトラシアン、Smartsheetなどの生産性向上支援企業や、ワークデイなどのHRなど多くSaaSが伸びてきたのとリンクするようなメンション数(via BV) pic.twitter.com/bcE9o4Qb1c
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) May 16, 2018
クラウドネイティブのソフトウェア開発プラットフォーム Pivotal Cloud Foundry(PCF)
Pivotalは、アジャイル開発(当初の要求仕様通りにはならない開発プロジェクトの変化を想定した機動力のある開発スタイル)と親和性の高いクラウドネイティブなソフトウェア開発プラットフォーム Pivotal Cloud Foundry(PCF)を提供している。
PCFはオープンソースのPaaS基盤ソフトウェア「Cloud Foundry」ベースのエンタープライズ向け商用版PaaSソフトウェアで、アジャイル開発と親和性が高い。
PaaS: Platform-as-a-Service
アプリケーションを構築・実行するためのリソースが揃ったプラットフォームをインターネットを介して(従量課金や継続課金などで)サービスとして提供。
アプリケーションの作成・テスト・デプロイ、運用・管理やそれに関わるライセンスやサーバ、ミドルウェア、開発ツールなどの調達・設定管理・セキュリティの複雑な作業を排除し、開発に集中できるようにする。
PCFを利用することで開発期間の短縮だけでなく、継続的な改善もしやすくなる。
実行環境はAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、VMware vSphere、OpenStackなどあらゆるクラウド環境で、企業がプライベートクラウドでもパブリッククラウドでもマルチクラウドなアプリケーション実行を可能にしベンダーロックインを排除できるユニークな立場にあるという。
GEやフォードなどフォーチュン100企業の半分近くが、Pivotalのクラウドネイティブ・プラットフォームを採用。
解説が長くなりすぎるので省略するが、PivotalはPaaSだけではなくコンテナオーケストレーション(CaaS:Containers as a Service)や、サーバレスコンピューティング(FaaS:Function as a Service)など、PaaS、CaaS、FaaSを1つのパッケージで提供する「Pivotal Cloud Foundry 2.0」にプラットフォームを進化させている。
「クラウド!」
「コンテナ!」
「サーバーレスコンピューティング!」――そのうちカーズは考えるのをやめた pic.twitter.com/w7c4Ki4caN
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Pivotal SoftwareのKPIと業績の最新データを整理
ピボタル・ソフトウェア決算
Pivotal Software (NYSE:PVTL) Q3
EPS -$0.05 予想 +$0.03
売上 $168.14M (+30.4% Y/Y) 予想 +$4.03MQ4売上予 $169M~$171M (予: $167.29M) およそ+27.6% Y/Y
クラウドネイティブのソフトウェア開発プラットフォームhttps://t.co/UnbDCXwmxKhttps://t.co/BhVw6UNEbJ pic.twitter.com/r9BdqI9gSl
— 米国株 決算マン (@KessanMan) December 12, 2018
Pivotalはサブスクリプション売上高の伸び率を強調している。契約期間は通常1年から3年で、サブスク比率が高まることで売上高の見通しを改善していく。
全体として販管費は絞っており、成長と利益をうまくバランスできるかどうかと、企業に深く入り込んだユニークなポジショニングから何を繰り出してくるのかは注目する価値があるだろう。
Pivotalのアジャイル開発サービス Pivotal Labs
アジャイル手法を軸としたアプリケーション開発の推進「Pivotal Labs」は、アウトソーシングと違い、数名でチームを組んで対面で共同で作業を進める。
PCFとのシナジーが高い。
主要株主がDELLとなったPivotalの歴史
Pivotalは2013年にEMC、コンピュータ仮想化のパイオニアVMwareからスピンアウトして誕生した。
DELLがEMCを買収したことでDELLはPivotalの主要株主となっている。
また、Microsoftやフォード、GEなどもPivotalに出資している(フォードやGEはPivotalの主要顧客でもある)。
EMCやVMwareの傘下の事業の一部を統合してPivotalがスピンアウトした経緯から、以下のような構成となっている。
Javaアプリケーションをクラウドで利用しやすくし、アプリケーションの開発・展開を迅速化するフレームワークであるSpring(2009年にVMwareが買収)
オープンソースのメッセージプラットフォームのRabbitMQ(2010年にSpringが買収)
オープンソースのPaaS基盤ソフトのCloud Foundry(2009年にSpringが買収)
構造化データが得意な次世代ビッグデータ分析のためのデータウェアハウスのGreenplum Database(EMCが2010年に買収)
膨大なデータを複数のサーバのメモリ上で分散して管理することでデータアクセスの高速化とスケールアウトを容易にするインメモリデータグリッドのGemFire(VMwareが2010年に買収)
…などクラウド・ビッグデータ時代に強いプロダクトを傘下にしている。
PaaSの市場規模は拡大傾向。
ISV(サードパーティーの独立系ソフトウェア開発ベンダー)とのエコシステム形成。
たとえばDevOpsツールなどのPCFのアドオンサービスをISVが提供するPivotal Services Marketplaceによってプラットフォームを差別化している。
ピボタル・ソフトウェアの株価
ピボタル・ソフトウェアの決算を時系列でまとめる
<Pivotal Software ’19 Q3決算> 2018/12/12
EPS -$0.05 予想 +$0.03
売上 $168.14M (+30.4% Y/Y) 予想 +$4.03M
Q4売上予 $169M~$171M (予: $167.29M) およそ+27.6% Y/Y
<Pivotal Software ’19 Q2決算> 2018/9/12
EPS -$0.06 予想 +$0.03
売上 $164.41M (+30.5% Y/Y) 予想 +$6.19M
ペプシコやオートゾーンなどの契約を獲得。また、VanguardやTDアメリトレードなどの既存顧客がPivotal Cloud Foundryの利用を拡大していることからnet expansion rateが150%となった。
サブスクリプション契約顧客数は354と前年比19%増。
<Q3ガイダンス>
売上 $163M~$165M (コンセンサス: $162.89M)
EPS -$0.09~-$0.08 (同: -$0.09)
<FY19ガイダンス>
売上 $647M~$653M (同: $646.52M)
EPS -$0.36~-$0.34 (同: -$0.38)
Deferred revenue(前受収益)が懸念され株価は下がった。
<Pivotal Software ’19 Q1決算> 2018/6/12
EPS -$0.10 予想 +$0.03
売上 $155.74M (+28.5% Y/Y) 予想 +$15.3M
サブスクリプション $90.1M (+69% Y/Y)
<Q2ガイダンス>
売上 $157M~$159M (コンセンサス: $152.81M)
サブスクリプション売上高 $92M~$93M
営業損失(Non-GAAP) -$23M~-$22M
<FY19ガイダンス>
売上 $642M~$649M (コンセンサス: $622.03M)
サブスクリプション売上高 $380M~$384M
営業損失(Non-GAAP) $96M~$91M
オープンソースベースでベンダーロックインを排除するというポジショニングをしている企業としてはレッドハットが知られている。