マイクロソフト(Microsoft Corporation)はPCのOSであるWindowsや業務用ソフトウェアOfficeの圧倒的シェアという金のなる木を稼ぎ頭に、現在はクラウド事業を軸に、様々な買収やR&Dによって成長を模索中の世界的ソフトウェア企業。
最新の業績データは以下で解説している。
米マイクロソフト株価チャート
ドル箱のWindowsの行く末とスマートフォン事業の出遅れ
スマートフォン市場の急伸によるPCの販売鈍化で、かつてほどWindowsの収益に頼ることが難しくなってきており、一方のスマートフォン事業においては買収したノキアの携帯端末事業はAppleやサムスン電子などにシェアを奪われ過去最大の四半期赤字を計上することにつながる失敗買収といわれており、スマホOSにおいてもiOS(アップル)とAndroid(グーグル)の二強に対して存在感を示すことができていない。
PCの販売台数が以前ほど成長していないため、PCメーカーからのライセンス収入(OEM収入)も減速している。また、Windowsのアップグレードによるライセンス収入に対しても、クロームOSなどが「無料」でシェアを侵食してきている(そのためWindows10は無償アップグレードに追い込まれた)。
もう1つのドル箱であるOfficeに関してはOffice365による安定的な囲い込みは着々と進行中なのでWindowsを無償アップグレードさせたのはOffice365の伸びを優先したとの見方もある。
タブレット事業(Surface)は同社の売上高において比重はかなり小さいものの当初の予測よりも足場を築いている。ただこちらもAppleが放置しているはずもなくiPad Proなどをビジネス向けに強いSurfaceにぶつけている。
マイクロソフトの業績推移グラフ
2004年に発表された当時騒がれた巨額の株主還元計画の一貫で、マイクロソフト社の約600億ドルの現預金の中から特別一時配当として320億ドル(自社株買いも巨額)株主に還元されたためその部分のグラフが突出している。
AWSに次いで躍進するマイクロソフトのクラウド事業
マイクロソフトにとっての将来の成長ドライバーとして期待されるのはOffice365やMicrosoft Azureなどのクラウド事業だ。ナデラCEOもクラウド・ファーストがマイクロソフトの戦略と表明している。
クラウド事業で大きく先行しているのは米AmazonのAWS(Amazon Web Services)であり、マイクロソフトは「Microsoft Azure」などのクラウド事業を伸ばし二番手として追い上げている。
今後の決算で最も注目されるのはAzure(アジュール)とOffice365などのクラウド事業の伸びということになるだろう。
その際に、競合他社とのクラウド事業の成長率の差に着目したい。
先行し突出したシェアのAmazonのAWSを別格としてマイクロソフトが2番手につけIBMとGoogleを含めてクラウドのビッグ4と呼ばれている。
グローバル・スケール感あるデータセンター運用と、運用サポート力において魅力の上位BIG4企業のシェアが拡大しているため、小粒な下位クラウド企業の再編はありそうだ。
競合企業
アップル(AAPL)
―Apple Inc.
グーグル(GOOGL)
―Google Inc
アマゾン(AMZN)
―Amazon.com, Inc.
IBM(IBM)
―International Business Machines Corp.
みんなの投資分析とコメント
バリューアクト・キャピタル・マネジメントなどのアクティビストが取締役会に加わると株主還元圧力が高まりそうですが、今はクラウド事業の拡大に資金を費やしてほしいのでこのタイミングでのそのような圧力はゲイツ氏は反対しそうですね。前CEOのバルマーさんも自社株買いは”現時点で”最良の選択肢ではないと反対していますし。
2015年4-6月期 マイクロソフトQ4決算
過去最大の四半期赤字(ノキア減損)
純利益: 1株当たり -0.4ドル
前年同期: 0.55ドル
評価損やリストラ費用等除くと: 0.62ドル
市場予想: 0.56ドル
売上高: 221億8000万ドル
前年同期: 233億8000万ドル
市場予想: 220億3000万ドル
ノキアの事業縮小などで従業員6%カット計画を表明
2015年1-3月期 マイクロソフト第3四半期(Q3)決算
純利益: 1株当たり0.61ドル
前年同期: 0.68ドル
訴訟や買収等除くと: 0.62ドル
市場予想: 0.53ドル
売上高: 217億3000万ドル
市場予想: 210億6000万ドル
携帯電話事業(ノキア)の業績が本決算より含まれる
マイクロソフトの新CEOナデラ氏の快進撃やばい。
クラウド(Azure)でラックスペースと手を組んだところで足場かためてるなーと思ったけど
さらに、先日マイクロソフト(Azure)とレッドハットが戦略的提携したことによって、WindowsとLinuxどっちのハイブリッドクラウドでもサポート提供可能になったので、しっかりとしたサポートを得たいパートナーはAWSではなくAzureを選ぶ動機付けがさらに強化されましたね。
Amazonをクラウドの成長期待で買っている人はヘッジでMSも買わざるを得ないという状況か。