トラベラーズ(Travelers Companies Inc)は米国の代表的な損害保険会社の1つであり(2009年にダウ平均採用)、同社子会社・代理店・ブローカーを通して、政府部門・団体・企業・個人向けに各種災害保険・動産・商用・各種損害保険を提供している。傘のロゴマークで米国ではおなじみのトラベラーズは1898年に米国で最初の自動車保険を販売し、世界初のインターネットで自動車保険を提供した会社でもある(1998年)
トラベラーズ株価チャート
法人向け保険としては中小企業向けから大企業向けの労働者災害補償保険やリスクマネジメントサービスまで大小問わず幅広い企業向けに設計された保険商品を扱う。トラベラーズは企業向け損害保険、企業向け自動車保険引受シェアの高さに強みがある。金融・国際保険部門も担保・金融関連の損保・賠償責任保険を広く提供。
個人の自動車保険の他にも、住宅保険、コンドミニアムや賃借人向け小規模保険、地震保険、洪水保険、珍しいものとしてはボート・ヨット保険や結婚式用保険なども手がける。
トラベラーズの業績推移グラフ
主に米国で損害保険を提供するビジネスである以上、寒波や大型のハリケーンなどの自然災害の増加による影響を大きく受ける(個人・企業の不動産保険などを対象に保険金支払い額が増加するため)。米国外でもカナダのドミニオン・オブ・カナダ・ゼネラル・インシュアランスを10~11億ドルで買収するなど事業拡大に取り組んでいる。
また、保険契約者の保険料で主に債権などに投資しているため、金利動向に投資収益が左右される(その際は保険料値上げやエクスポージャーの拡大でカバーする)。
トラベラーズなどの物損人身保険提供事業者にとって自動車損害保険の保険料は最大の収益源であり、無人自動車が実用化され普及した場合、事故率が低くなると予想され、すなわち保険商品の需要減、つまり保険契約数減少や・保険価格引き下げ圧力などの可能性はある。
大手損保の中でもトラベラーズは自社株買い戻しプログラムにかなり積極的である。
買収されたこともあったシティ銀行がダウ平均構成銘柄からはずされ、同時にトラベラーズがダウ指数銘柄に採用されたのは2009年のことだった。
比較対象の主要損害保険会社
ステートファーム保険
―State Farm Mutual Automobile Insurance Company
―米国最大の損保
オールステート保険(ALL)
―Allstate Insurance Company
バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
―Berkshire Hathaway Inc.
―GEICO
プログレッシブ・コープ(PGR)
―Progressive Corp
USAA
―USAA Insurance Group
アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
―American International Group
―リーマン・ショックというよりAIGショックと言われている
アリアンツ(ドイツ)
―Allianz SE
―世界最大手
チューリッヒ保険(スイス)
―Zurich Insurance Group
リバティ・ミューチュアル
―Liberty Mutual Insurance
ネーションワイド保険
―Nationwide Mutual Insurance Company
ハートフォード・フィナンシャル・サービシズ(HIG)
―Hartford Financial Services Group Inc
CNAファイナンシャル(CNA)
―CNA Financial Corporation
みんなの投資分析とコメント
低金利とエネルギー関連投資評価額の下落、そして大寒波と積雪のほか、西海岸の干ばつという災害補償額と…ドル高の影響は受けないものの、なかなか逆風ですね。
2015年1-3月期 Q1決算
純利益が前年同期比20.9%減
投資利益19.5%減
一部投資関連損益を除く1株利益: 2.53ドル
前年同期: 2.95ドル
市場予想: 2.54ドル
売上高: 66億2600万ドル
市場予想: 60億ドル
配当金の11%増配(現在配当利回り2.39%)と50億ドルの自社株買いの設定。
combined ratio(コンバインド・レシオ)は昨年の88.2%から90.3%に悪化。
解説:
財務成績、保険引受の収益性を測るには契約者配当後コンバインド・レシオ(保険料1ドルに対しての保険金・経費支払後の割合)を使います。
コンバインド・レシオが100を超えている場合は保険引受損失が発生していることを示している。
今回の場合このレシオが増えている=悪化しているということです。