Nasdaq, Inc.【NASDAQ:NDAQ】
ナスダックは米国の証券取引所運営会社。
米国のNASDAQを中心に世界で24の取引所を運営。ライバルであり世界最大の株式市場であるNYSE(ニューヨーク証券取引所)のような立会場もなく、証券会社間による相対取引の電子取引所となっている。
1971年に世界初の電子株式市場としてベンチャーを中心とした証券取引所として地盤を築き、買収によって規模拡大・事業多角化を行っている。
NASDAQのビジネスモデル
収入の主な柱は取引手数料、情報サービス・ライセンス手数料、上場サービス。
投資家の現物株の売買ボリューム頭打ちや競争激化による手数料収入減少で、買収などによって収益源の多様化を行っている。
主にサブスクリプションに基づくサービスに注力することで収益の安定化をはかっている。
資産運用業界において、独立したデータ提供や分析の高度化ニーズが高まっており、売買アルゴリズムのバックテストを行うために必要なデータ、リアルタイムデータフィードなどNASDAQは大量のデータを保有している。
2017年には投資家向け情報サービス会社イーベストメントを7億500万ドルで買収。
同社の運用会社・ヘッジファンドの運用成績などのデータ提供や分析サービスが機関投資家の上位90%に提供されている。
パッシブ投資ブームでインデックスのライセンス収入も増加。
取引所や規制当局、ブローカー向けに市場監視ソリューションを提供するSMARTS買収などで補強。
eSpeedの買収により、ナスダックは現在、米国債電子取引市場大手に。
オプションや先物などもカバーし、競合のCBOEやCMEに遅れてしまったがビットコイン先物参入も検討。
NYSE同様、NASDAQ上場維持費用などのリスティング・フィーも毎年入ってくる安定収入源の1つ。
また、ユニコーン企業と呼ばれる未上場でありながら評価額10億ドル以上の規模のスタートアップが増えるなど、スタートアップの上場までの潜伏期間が長くなっており、上場(ロックアップ解除)まで待てない株主に流動性を提供できる、未公開株取引市場「ナスダックプライベートマーケット」を提供している。
有望とみられ規模と勢いのあるスタートアップであるユニコーン企業(未上場で評価額10億ドル以上)の数は214社。
米中にユニコーン企業の大半が集中している。
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— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) 2017年10月6日
世界のユニコーン(評価額10億ドル以上の未公開企業)は米国と中国で世界の8割を占めているが、他の国のユニコーンも合わせた規模感の少し分かるマップ。
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— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) 2017年9月20日
ナスダックプライベートマーケットは、FacebookやリンクトインのIPO前の株式を取り扱ったことで知られるシェアーズポストと合弁(NASDAQが大部分を出資し、現在はNASDAQが完全なオーナー)し、さらに買収した同業のSecond Market Solutionsを統合した未公開株取引市場。
またコスト削減のため、このナスダックプライベートマーケットにブロックチェーン技術を取り入れる実験を行っている。
なお、NASDAQは2012年にトムソン・ロイター(NYSE:TRI)のIR・広報支援事業を3億900万ドルで買収しており、これにより顧客の電話会議やプレスリリースおよび広報など、IR支援サービスも提供。
米国だけではないNASDAQの存在感
2007年5月にスウェーデンの証券取引所運営会社OMXと経営統合している。
スウェーデン: ストックホルム証券取引所
フィンランド: ヘルシンキ証券取引所
デンマーク: コペンハーゲン証券取引所
リトアニア: ビリニュス証券取引所
ラトビア: リガ証券取引所
エストニア: タリン証券取引所
電子国家ビジョンで先行するエストニアではブロックチェーンへの取り組みも積極的で、NASDAQも同国でブロックチェーンの実験をしている。
また、シンガポール証券取引所(SGX)は、ナスダックの技術を利用し、さらにSGXとNASDAQの両取引所に二重上場できるよう提携している。
NASDAQの激しい競争
取引所は寡占のように見えて、私設取引所など新興勢力との戦いが激化している。
主に世界最大の株式市場ニューヨーク証券取引所(NYSE)を運営するインターコンチネンタル取引所(NYSE:ICE)と私設取引所として売買シェアの高いBATSを買収したCBOE。
その他警戒されているのは新興勢力のIEX(the Investors Exchange)のシェア拡大だ。
超高速取引(HFT)が先回りして利益をかすめとっていると批判したフラッシュボーイズで有名な私設取引所IEXはSECから公式の取引所として認可され、成長している。
IEXは現在、約2.5%の市場シェア
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— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) December 8, 2017
証券市場の民主化でNYSEとNASDAQ以外の証券取引所が乱立する中、超高速取引(HFT:High frequency trading)による中抜きが行われていると指摘した書籍「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」で有名になったIEX
IEXはダークプール(私設取引所)からスタートし2016年に公式な取引所として米証券取引委員会(SEC)から承認を受けた。
超高速取引アルゴリズムの問題点を指摘するIEXは、HFTから投資家を保護するため取引速度を意図的に遅らせる仕組み「スピードバンプ」を導入した取引所で、シェアを伸ばしている。
IEXのシェア拡大で圧迫されるニューヨーク証券取引所とNASDAQ
シェア推移はIEXのサイトで確認できる。https://t.co/mGw2roiygo pic.twitter.com/Ugwpi85fk8
— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) 2017年12月8日
スピードバンプの仕組みはHFTに対し反応が遅いトレーダーでもその瞬間の競争を均等化するために株式注文を350マイクロ秒減速させるもの。
しかし、そのスピードバンプを模倣するNYSEの仕組みもすでにSECに承認されており、私設取引所のシェア拡大もあわせ競争がまだまだ激しくなりそうだ。
ナスダックの業績と決算
ナスダックの業績推移グラフ
売上高はさほど伸びていないが、利益率が改善、キャッシュフローが伸びる。
2013~2017年(TTM)でのNASDAQのキャッシュの使いみちは自社株買いに31%、配当金に27%、残り42%は買収と債務返済。
<ナスダックの株価>
ナスダックの決算を時系列でまとめる
<Nasdaq inc ’18 Q1決算> 2018/4/25
EPS $1.24 予想 +$0.06
売上 $666M (+14.6% Y/Y) 予想 +$24.18M
NASDAQ決算 (NASDAQ:NDAQ) Q1
EPS $1.24 予想 +$0.06
売上 $666M (+14.6% Y/Y) 予想 +$24.18M昔ならNASDAQに上場してたような企業もNYSE選ぶようになってきた感。逆にNYSEにいそうなペプシコをNASDAQに引き抜いたりしている。https://t.co/3Pa4FsIqtf pic.twitter.com/xxP4KgVUQc
— 米国株 決算マン (@KessanMan) April 25, 2018
<Nasdaq inc ’17 Q4決算> 2018/1/31
EPS $1.05 予想 +$0.05
売上 $635M (+6.0% Y/Y) 予想 +$5.31M
<Nasdaq inc ’17 Q3決算> 2017/10/25
EPS $1.06 予想 +$0.04
売上 $607M (+3.8% Y/Y) 予想 +$7.42M
NASDAQ決算 $NDAQ
EPS $1.06 予想 +$0.04
売上 $607M (+3.8% Y/Y) 予想 +$7.42M「NASDAQ」を運営。https://t.co/Mrdm8w8op5 pic.twitter.com/iUXd1NdoAW
— 米国株 決算マン (@KessanMan) October 25, 2017