アンバレラ【AMBA】アクションカメラでGoProと決別したが家庭用監視IPカメラが伸びる

Ambarella

Ambarella, Inc.【NASDAQ:AMBA】
高解像度ビデオ処理用SoC(System-on-a-chip)のファブレス半導体メーカー。

アクションカメラのNo.1ブランド「GoPro」にアンバレラのSoCが長らく採用されていたが、GoProはGoPro Hero6からアンバレラの採用を見送った(理由は後述)。

アンバレラのSoCの特徴は、高精細画像処理を高い画像圧縮率かつ低消費電力で実現する点。

アクションカメラ市場の変化がGoProをアンバレラ不採用へ駆り立てた

決してアンバレラの性能が低かったからGoProがアンバレラの採用を取りやめたわけではない。

性能ではない理由がウェアラブル・スポーツ・カメラ(アクションカメラ)市場のプレイヤーの変化にある。

今やGoPro一強ではなく、小米科技(シャオミ)のゴープロキラー(クローン)といわれるYi 4k(↓の動画)など中国メーカーの安価なアクションカメラもなかなか品質が上がってきている。

GoPro HERO 6 vs YI 4K+!!

性能の多くがSoCに依存するため、廉価帯アクションカメラで使われるSoCでもNovatekあたりから十分な性能となり、そこまではよかったが中国メーカーのアクションカメラでもGoProと同じくアンバレラのSoCの搭載が増えてきており、GoProとの性能差が縮まっていた。

そのため差別化が難しくなる(コモディティ化する)ことを懸念したゴープロはGoPro Hero6からアンバレラを採用せず独自チップ(ソシオネクストのSoCベース)に切り替えてしまった。

GoPro HERO6: This Is the Moment in 4K

アンバレラにとってはGoProは長年、売上の多くを占め依存度が高かった上位顧客であり、売上減少に直結した。

では、アンバレラの未来は潰えたのだろうか?

ビジネスの視点からいうと1社に依存しすぎる構造は不確実性が高く立場も弱いため顧客は多様化していた方が良い(GoPro自身も苦戦していた)。

そもそもGoProが不採用を決めた理由は、伸びている新興中国メーカーがアンバレラのSoCを採用していることでもあるため、このままアクションカメラ市場が拡大していくなら問題はない。

問題はドローン市場でのプレゼンスの低下

懸念されているのは有望と見られていたドローン市場でのアンバレラのプレゼンスの低下。

ドローンの大半のシェアの中国ドローン大手DJIで長らくパートナーだったが、大ヒットのDJI SparkのSoCではアンバレラではなくモビディウス(Movidius:インテルが買収)が採用されている。

DJI Spark – 紹介映像

モービルアイやモビディウスを買収したインテルは画像認識技術や自律制御でアンバレラよりも優位性があり、アクションカメラとは違う厳しい戦いとなりそうだ。

アクションカメラもダメ(GoProは)、ドローンもダメ、となると厳しそうだが、最新のカンファレンスコール(2017年12月)によるとアンバレラが現在焦点をあてている2つの市場は自動車向けとIPセキュリティだという。

セキュリティ監視用のIPカメラでは有望

Ambarella IP Camera
まず、監視IPカメラは市場全体が伸びておりマーケットとしては魅力的だ。

従来の低解像度のカメラから高解像度のIPカメラに移行するだけでもインパクトのある動きであり、アンバレラのSoCはプロフェッショナルセキュリティ市場も含め幅広くIPカメラで採用されている。

アンバレラは中でもホームセキュリティIPカメラに同社のモメンタムがあるとみている。

例えばGoogle(Alphabet)傘下のスマートホーム製品メーカーのNestの「Nest Hello video doorbell」でもアンバレラのSoCが採用されている。

このようにいわゆる監視IPカメラというカテゴリを再定義するような幅広い市場の拡がりが追い風となっている魅力的なマーケットで、アンバレラは良いポジションにある。

アンバレラのビジネスの拡がりを左右する自動車向けの採用動向

目下、電子ミラーソリューションでの採用が期待できるという。

アンバレラは車載カメラ(ドライブレコーダー)で存在感があり、その上でサラウンドビューや電子ミラーといった自動車向けのクロスセルを目指している。

ADAS領域までカバーするには現状は力不足で、それはアンバレラが開発している新型チップのCV1の出来次第だろうか。

Localization video

CV1はアンバレラが2015年に3000万ドル買収したイタリアの自律型車両研究・画像認識技術のビズラブ(VisLab)の3DV Stereo System(ステレオカメラによる3D認識技術)がトリガーで、アンバレラの画像処理技術に対し欠けていた画像認識技術とのシナジーでどうなるか?という点が注目されている。

実際ドローンなどで競争力が低下したのは画像認識技術不足が原因であった。

アンバレラの業績と決算

技術者であったFermi Wang(王奉民)が2004年に創業したアンバレラはファブレスの半導体メーカーであり、ファブレス(fabless: fabrication facility – less)とは工場を持たずアンバレラが設計したSoCのライセンスに対して収益を得るビジネスモデル。

GoProやDJIの失注などで業績は安定的ではなかった。

VRカメラ、360度カメラなど様々な領域がありそうだが、

アンバレラの業績推移グラフ

*2018年度はTTM

<アンバレラの株価>

アンバレラの決算を時系列でまとめる

Ambarella ’18 Q4決算> 2018/3/1
EPS $0.45 予想 +$0.08
売上 $70.6M (-19.3% Y/Y) 予想 +$0.3M

車載コンピュータビジョン次第で業績が変動しそうな感じ。

Ambarella ’18 Q3決算> 2017/11/30
EPS $0.75 予想 +$0.08
売上 $89.1M (-11.3% Y/Y) 予想 +$0.13M

GoPro失注の影響で売上が減少しているが、GoPro以外の売上高は前年比7.2%の増加

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