シノプシス(Synopsys, Inc.)は半導体設計からソフトウェア開発までの領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供する米国のソフトウェア企業。
具体的には、SoC(system-on-chip)設計者やアプリケーション・ソフトウェアの開発者向けに、EDAツール(電子設計自動化ツール)と半導体設計資産(IP)を提供し、顧客が高品質な半導体チップを迅速に市場に投入できるよう支援するEDA・IPベンダー。
シノプシスは電子機器ができるまでの設計周辺がビジネス領域
可視化すると以下の画像の左上のEDAおよびIPがシノプシスのビジネスのポジションで、最終的な電子機器プロダクトができるまでのバリューチェーンの心臓部をビジネスにしているということだ。
カバー範囲の広いインテルですら、IPベンダーである(いわゆる設計図を書いている)ARMの壁は厚く、上図のバリューチェーン全てを司ることは難しく、各社強みのある事業領域を絞って競争・協業している。
上図のバリューチェーンにおける半導体チップの設計を支援するツール(EDAツール)と、ソフトウェア開発におけるライブラリのような半導体の設計図のようなIP(半導体設計資産)をシノプシスはビジネス領域としている。
シノプシスは3強によって寡占されたEDA業界トップシェアで、IPでも2位の世界第15位のソフトウェア会社であり、EDA業界については以下で簡単に解説している。
シノプシスはEDAで首位の上、IPベンダーとしても2位に成長
シノプシスの売上比率はEDAツールビジネスが6割、半導体IPビジネスが3割で残りがソフトウェア品質・セキュリティソリューションやサポート等。
シノプシスの3つのビジネスのバランスはEDAが突出しているが、IPやその他領域も強い。
シノプシスはEDA業界で1位のマーケットシェア。
定評のある論理合成ツールなど業界一のEDAツールとサービスで顧客が高品質の半導体チップを迅速に市場に投入することを支援する。
シノプシスはIPベンダーとしてもシェア2位。(圧倒的な1位はもちろんソフトバンクに買収されたARM)
業界随一の品揃えを誇るシノプシスの高品質なシリコン実証済み(再利用可能な状態の)IPソリューションが開発リスクを削減し開発期間を短縮する。
IoT/車載などのシステムを狙った攻撃のリスクは高まる見通しで、SoC設計者はアーキテクチャ開発の段階から強固なセキュリティ対策を講じる必要があり、シノプシスはその領域でも台頭しつつある。
自動運転車や、IoT、クラウド、データセンター、スマートフォン、航空・防衛などホットな領域をカバーしており、AI時代における注目企業の1社ともいえる。
シノプシスの業績推移グラフ
Synopsys決算まとめ
・半導体チップの設計を支援するEDAツールでシェア1位
・そのEDAが売上高の大半を占めている
・世界金融危機でも増収
・平均ライセンス契約期間3年で見通しのよいビジネス
・2014年頃から買収補強などでソフトウェアセキュリティ方面に参入https://t.co/RG0fwohA4C— 米国株 決算マン (@KessanMan) February 21, 2019
シノプシスは予測可能性の高いサブスクリプション収入比率が90%と高いため(ハードウェア除く Time-based Revenue Model)、1年-3年程度先の収益の見通しがクリアのため買収などによる成長戦略の補強を持続可能性のある状態で維持しやすい。
たとえばキャンセル不可能な3年分のバックログ(受注残)がFY2016年末時点で35.4億ドル分もある。
シノプシス株価チャート
2017/8/16に発表されたシノプシス決算資料 $SNPS
シノプシスは3強で寡占されたEDA業界で長らく首位https://t.co/ug2DUUqn7V pic.twitter.com/4iYa8nUiSw
— 米国株 決算マン (@KessanMan) October 3, 2017
米国に次いで日本単体の項目があるぐらい日本で高いシェア。
EDA業界の同業他社
ケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)
Cadence Design Systems Inc
メンター・グラフィックス
Mentor Graphics
競合IPベンダー
英ARM(ソフトバンクが買収)
同業IPベンダーのアーティザン(Artisan)はARMに買収された。
ラムバス(RMBS)
Rambus Inc.
シーバ(CEVA)
CEVA, Inc.
オープンソースのチップアーキテクチャー「RISC-V」などものびている。