ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)はヘルスケア物流も強い世界最大級の運送会社

United Parcel Service

ユナイテッド・パーセル・サービス(United Parcel Service Inc)通称UPSは220の国と地域で貨物運送サービスを展開する世界3大物流企業の1社

1907年に10代の起業家Jim CaseyがUPSを米シアトルで創業し、徐々に米国で業務の幅を拡げ、1975年には海外に進出、競合の小荷物運送企業であるFedExが始めた翌日配達事業にも後に参入。

UPS Network

EC(オンライン販売)の拡大でピーク時の小荷物輸送への負荷は重く、UPSもFedExも一部荷物をクリスマスまでに配送できなかった事態が話題となった。

ピーク時も含めた人件費問題解消のため、UPSはドローンによる宅配のテストも行っている。

UPS Tests Residential Delivery Via Drone

UPSと競合する国際貨物運送BIG3での比較

米国で約半分のシェアの競合FedExに対し、UPSは国際的プレゼンスと国際的成長面では高いと主張。

UPSとFedExの比較

だからこそFedExはオランダ物流大手TNTを買収してグローバル拡張を補完しているのだ。

フェデックス・コーポレーション(FedEx Corporation)は220の国と地域で運送サービスを展開する世界3大物流企業の1社。米...

諸葛亮の天下三分の計の如く世界の貨物運送シェアを3分割する米UPSとドイツDHLと米フェデックス。(こうなると日本のヤマト運輸はなかなか国際展開が難易度が高くなるがアジアで足場を築いている。)

競合他社よりUPSの利益率は高い。

ups fdx dhl margin compare

自動化等でコストを下げている。

UPS Automation

自動化の他にも、UPSのナビシステム「ORION」による配送ルートの最適化も燃料コスト削減に寄与

「左折より右折がガソリン代の節約になる。」とUPSは言う。

できるだけ左折を避けて右折するルートをORIONが選んだことで燃料費を削減することができた。

ドライバーの勘に頼ることなく距離、燃料、時間に関する配送ルートを最適化するORIONは、UPSが蓄積してきた配送ビッグデータによってアルゴリズムを進化させている。

UPS Smart Global Logistics Network

過去最高の自動化および統合による効率化を実現、とUPSは主張。

UPSとECの成長および越境ECの成長による恩恵

UPSが試算するECの成長および越境ECの成長予測。

ライバルのFedExは越境EC(クロスボーダー取引)のソリューション企業を買収するなどEC対応強化に急ぐ。

UPS My Choice and UPS Access Point

UPSの宅配サービスの拡充として2つの要素に焦点をあてている。

UPS My Choice
ヤマト運輸のクロネコメンバーズみたいなもので、荷物の追跡機能、推定配達時間のお知らせまでは無料会員でできるが、クロネコヤマトと違って配達日を変更したりするのは有料オプションまたは有料会員メニューとなる。

UPS Access Point
日本でいうコンビニで荷物を受け取れるようなイメージ。

近隣の企業がUPSアクセスポイントネットワークに参加することで荷物を受け取りに来た消費者のついで買いを誘発できる(かもしれない)

まだ米国で8000箇所、世界で27000箇所しかないが増えている。

競合他社との比較で面白いのがヘルスケア物流拡大の動き

ECは伸びているが物流の未来はECが全てではない。

UPSはEC強化に注力している感じだったが、UPSで注目したのはヘルスケア物流の買収に関する内容だった。

2016年に臨床試験物流ソリューションの会社であるMarkenを買収。

Markenは患者への直接サービスと生物学的キット生産・生物学的試料の輸送のリーディングカンパニーであり、臨床試験現場で必要とされる付属品のサプライチェーンロジスティックスも提供。

150カ国以上で毎月5万種の医薬品、生物学的試料をあらゆる温度領域で管理できるヘルスケア物流の主導的ポジションの会社を買収し、既存のUPSのヘルスケア物流機能を拡充したのだ。

Global Healthcare Integrated Distribution Network

Markenの買収以前も、2014年にはイギリスの医薬品物流会社Polar Speedと、同年ポーランドの医薬品物流会社Poltrafを買収しており、同分野でのUPSのサプライチェーン規模を拡大している。

ECだけが物流会社の軸ではなく、Amazonの脅威に対抗するためにUPSも先手を打っている。

4温度帯(常温・定温・冷蔵・冷凍)保管に対応した医薬品・医療機器専用の高機能施設もハブ&スポーク戦略でスケールメリットで効率化がはかれる。

UPSの業績推移グラフ

2017年は2017/9/28時点のTTM=Trailing Twelve Months(直近12ヶ月のデータ)

UPS株価チャート

https://twitter.com/america_kabu/status/890546907956756480

UPSと競合する物流企業

フェデックス(FDX)
米FedEx Corporation
米国ではFedExの方がシェアが高いがグローバルではUPSがシェアが高い。

DHL
ドイツポスト傘下の世界最大の物流会社。近年ブランド価値が増加。

ユナイテッド・パーセル・サービスの決算を時系列でまとめる

UPS ’18 Q3決算> 2018/10/24
EPS $1.82 予想 =
売上 $17.44B (+7.9% Y/Y) 予想 -$50M

<FY18ガイダンス>
EPS $7.03~$7.37 (予: $7.26)

UPS ’18 Q1決算> 2018/4/24
EPS $1.55 in-line
売上 $17.11B (+10.3% Y/Y) 予想 +$670M

冬の悪天候に伴うコストで米国事業の営業利益は削られたが、海外部門が好調。