アプリで事前にメニューを選んで注文・決済し、店舗ではレジに並ばず専用レーンで受け取れる仕組み
注文のための行列待ち時間の短縮はもちろん、後ろに並んでる人がいるプレッシャーの中で注文しなければならない、ということがなくじっくり選べるので注文単価も上昇する(スタバの場合)のも特徴。
Mobile Order & Payで最も有名なのはいち早く大規模展開したスターバックス。
また、AmazonもAmazon Payで飲食店チェーンのMobile Order & Payを実験している。
(↑については続報がないので脅威を感じて書いた記事のテンションとギャップがあるが…!)
Mobile Order & Payからデリバリーまでシームレスな購入体験を飲食店でも
結論をいえば、モバイルオーダー&ペイは日本ではまだ普及の入り口だけど、将来的に見ると、オプションの1つに留まり、もっと大きな枠組みで捉えなければならないのではないだろうか?
小売業界大手企業の戦略はすべてOMO、シームレス・ボーダレスな購入体験。
Walmart「シームレスショッピング」
Alibaba「ニューリテール」
JD「ボーダレスリテール」
HomeDepot「One Homedepot」
ECだけ、実店舗だけ、…ではない複数の顧客タッチポイントにおけるマルチチャネル戦略において顧客中心に円を描いて店舗もECもオプションの1つと見なしていく(むしろ顧客に一番近い店舗という枠組みでアプリを捉える)。
同様に、飲食店においてもデリバリー、Mobile Order & Pay(店舗ピックアップ)など、動きはあるが、消費者目線で変化を捉えると、結局これもプラットフォーム有利なのではないかと考えてしまう。
というのも、米国に関していえば、スタバ、マクドナルド、チックフィレイ、シェイクシャック、パネラブレッドとMobile Order & Payもコモディティ化してきて、消費者からすると事前注文するためにいちいちチェーンごとにアプリを入れなければならないのは煩わしい。(レジに並ぶより断然マシだが”顧客の当たり前”は進化していく)
(もちろん事前注文するほどロイヤルティの高いユーザーなので企業からするとアプリでロックインしたいだろうが)
そこで興味深い動きがあった。
米国最大手のオンデマンドフードデリバリープラットフォームのGRUBHUB(グラブハブ)が、レストランチェーンにPOS統合、スマホ決済(Mobile Order & Pay含む)ソフトウェアを提供するLevelUpを買収したのだ。
あくまで今はホワイトラベルで(プラットフォームとしてプレゼンスを発揮するのではなく店舗アプリの縁の下の力持ちとして)提供だが、デリバリープラットフォームの未来としてデリバリーだけでなく事前決済・店舗ピックアップの選択肢も提供できるワンストップ化もあるのでは?
ということを予感させる買収だった。
飲食チェーンごとのアプリ(やたら増えてきたチェーンの○○Payも)が乱立してきている現状、デリバリーも事前注文ピックアップも選択できるプラットフォームだったら消費者からしたら統一されたUIだしアプリも1つの管理で済む。
*ちなみに筆者はつい先日、日本のKFC(ケンタッキー)の出前を頼もうと登録したがすさまじく最悪のUIで結局出前プラットフォームである出前館を使ったのであった…
もちろん、ふらっと立ち寄ってクーポン使いたい程度なら、中国テンセントのWeChatのミニプログラム方式(いちいち店舗アプリをインストールしなくて済む)がベターだとは思うし、攻略の仕方は色々あるだろう。
他にも、世界最大の口コミ情報サイトのYelpが「レストランでの待ち時間を表示し、順番がきたら教えてくれるシステムを提供している会社」を買収するなど、こちらもプラットフォーム側が顧客に近いレイヤーをおさえていくトレンド。
ちなみにYelpは前述のグラブハブと戦略的提携をしており、予約・デリバリー・口コミを抑えて、デリバリー以外は食べログと同様の戦略となっている。
予約という観点ではブッキングホールディングスのOpentableなどもあるが日本ではリクルートと食べログが強いようだ。
本題にもどると、Mobile Order & Pay乱立の未来⇒利便性の観点からプラットフォームでワンストップ?しかしMobile Order & Pay単独のプラットフォームは使われるイメージがあまり持てない。
ということで、Mobile Order & Payは基本的にピックアップ向きということもあり、すでにプラットフォーム化に成功している大手オンラインフードデリバリープラットフォームと統合するのが相性がよく店舗にも消費者にも効率よく選択肢を提供できシナジーがあるのではと考えたがどうだろうか?
追記: オンラインフードデリバリーのグラブハブがキャンパス内カフェやレストランのMobile Order & Payプラットフォームを展開するTapingoを買収
米国最大のオンラインフードデリバリーのグラブハブがTapingo買収https://t.co/23X7K0HswW
Tapingoは米国の150の大学のキャンパス内でいわゆるMobile Order & Payを展開するプラットフォーム企業。やっぱり予想通りMobile Order & Payで攻めて来たな。https://t.co/ucoPYb66dN
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) September 25, 2018
正確にはTapingoは大学のキャンパス内という限定的フィールドで効率よいオンラインフードデリバリープラットフォームを展開し、事前注文・決済で行列に並ぶことなく受け取れるMobile Order & Payプラットフォームとしても強い。
事前注文した商品をピックアップするついでに友達の分を持っていってもらう(もちろんインセンティブあり)というキャンパス内というコミュニティならではのデリバリーモデルが面白い。
スタバでMobile Order & Payの注文をさばききれないキャパシティ不足(デジタル行列)があったようにTapingoでも同様のトラブルはあるがそれだけ需要があるという裏返しでもある。
Mobile Order & Payとフードデリバリーを両方行うことを日本だと出前館あたりがやってくるかと思ったが、デリバリーのLINEデリマを展開していたLINEがLINEテイクアウトでMobile Order & Payプラットフォームとしても進出し、後発の戦略として非常に正しい切り口で攻めている。