The Trade Desk, Inc.(NASDAQ:TTD)
トレードデスクは広告枠のバイサイド向けに特化したDSPプラットフォーム企業。
DSP: Demand-Side Platform(デマンドサイドプラットフォーム)
広告出稿の費用対効果を高めたい広告主(広告出稿側)にプラットフォームを通じて安く/効果的に広告枠を仕入れる。
トレードデスクはバイサイド(広告主側)のみにフォーカスしており、特に大手広告代理店のニーズに応えながら成長してきた広告買い付けに特化したテクノロジー企業。
トレードデスクの特徴としては、直接広告主と取引することはないため広告代理店と競合せず、広告会社を技術的に支援するテック企業というポジショニング。
セルフサービス型(マネージドサービスではない)のDSPプラットフォームのため、広告主向けに直接営業を行うマネージドサービスを提供する企業がトレードデスクを基盤としてAPI連携するといったプラットフォーム戦略がうまくいっている。
モバイル広告、ディスプレイ広告、動画広告、コネクテッドTV広告、オーディオ広告などのキャンペーンを可視化するオムニチャネルの横断プラットフォームとAPIを提供し、すべてのタッチポイント(複数のデバイスにおける顧客接点)でのカスタマージャーニー(顧客の態度の変化・購買決定の流れ)を1つのダッシュボードで可視化。
というわけで、トレードデスクを一言でいえば、プログラマティック広告バイヤー(広告代理店、アグリゲーター、広告主)の効率化のために、広告ターゲットデータと意思決定を1つのクラウドベースのプラットフォームに統合し提供するテック企業といったところだろうか。
データ主導型でリアルタイム・自動的に広告枠を買い付ける効率が良いとされる運用型広告
トレードデスクのようなDSPを活用したRTB(Real Time Bidding)など。
The Trade Deskの四半期ごとの業績推移と最新データ
トレードデスク決算まとめ
・大手広告代理店に愛される広告プラットフォーム・テクノロジーで急成長
・プログラマティック広告も2018年22%成長したが、その業界2倍以上の速度で成長
・モバイル広告、音声広告、コネクテッドTV広告の伸びをフルに享受https://t.co/0c9R7jofle— 米国株 決算マン (@KessanMan) February 22, 2019
顧客維持率に関しては95%”以上”が19四半期連続。具体的な数値を出してくれないので95%以上の範囲の変動は不明。
全体的にKPIの開示資料はざっくりとした数値(だいたい2倍とか)が多いのでまとめづらかった…
ということで企業のIR資料に頼る。
顧客維持率が高く、特に大手広告代理店が積極的にトレードデスクを活用するなどコホートも右肩上がりで拡がっており優秀。
トレードデスクの顧客はプログラマティック・バイイングに関連するデータ提供会社、トレーディングデスク業務(広告運用代行)を行っている代理店、プログラマティック広告バイヤーなど。
特筆すべきは世界最大の広告代理店であるWPPも顧客で、大手広告会社依存はとてつもなく大きい。
ただ、トレードデスクの直接広告主と取引せずにあえて広告会社を通すという方針(We are an enabler, not a disruptor.)からするとむしろ本望で、大手広告代理店のニーズに技術的に応えてきた結果伸びてきた。
さて、トレードデスクのような企業が伸びるためには業界がより複雑化していくことも追い風だろう。(そうでなければ大手広告主がインハウス化で…と思ってしまうがトレードデスクは杞憂だと言っている。)
現状はコネクテッドTVからオーディオ広告と広告業界もかなり激動でツールも含めキャッチアップが大変で、まだまだトレードデスクのプレゼンスを発揮できる機会は大きく残されている。
トレードデスクの取扱うモバイル動画広告・コネクテッドTV広告なども伸びる。
モバイル動画広告を中心として、特にトレードデスクはコネクテッドTV広告にかなり期待しているようで、実際かなり伸びている。
Connected TVとは、いわゆるスマートTV・セットトップボックスなどを通じて、番組をオンデマンド視聴するデジタル時代のTV。
前回記事にした米国で人気のストリーミングTVプラットフォームのROKUなんかも従来型のリニアTV広告から広告予算シェアを奪ってストリーミングTV広告で伸びている。
トレードデスクは米国で初めて地上波局とプログラマティック広告の取り組みの契約を締結するなど、コネクテッドTVにおけるプログラマティック広告の広がりにかなり投資しているためコネクテッドTV広告の動向も要注目だ。
あとはオーディオ広告(音声広告)も伸びている。たとえば音楽ストリーミングサービスのSpotifyはフリーミアムモデルで無料版は広告つきで音楽ストリーミング再生できるが、そこで流れるCMがオーディオ広告。
スマートスピーカーの販売数が伸びたことによってオーディオ広告もポテンシャルはありそうだ。
プログラマティック市場は拡大中でトレードデスクのTAMも同時に拡大。
プログラマティック広告(運用型広告)の広がり via Kagan
プログラマティック広告といえばトレードデスクhttps://t.co/AqcY8wHX3G pic.twitter.com/4zWppFwpMX
— 気になる企業調べる🐘 (@kininaruzou) September 22, 2018
詳細なレポートデータ、入札ツールに強みがあり、新機能への取り組みもかなり積極的(AIによる自動化・効率化なども)。
アドフラウド問題(不正広告)などでP&GがかなりFacebookなどを糾弾しているなど、広告主は透明性を求めており、それに応えるのがトレードデスクの詳細なレポート。
<トレードデスク株価>
2016年にNASDAQ上場。
2007年にマイクロソフトに買収されたアドエクスチェンジ(インプレッションベースで広告枠を取引する広告取引市場)企業AdECNの共同創業者Jeff Green氏が再び2009年に創業したのがトレードデスク。
トレードデスクの決算を時系列でまとめる
<The Trade Desk ’18 Q4決算> 2019/2/21
EPS(Non-GAAP) $1.09 予想 +$0.30
売上 $160.5M (+56.4% Y/Y) 予想 +$12.77M
<The Trade Desk ’18 Q3決算> 2018/11/8
EPS $0.65 予想 +$0.15
売上 $118.8M (+49.6% Y/Y) 予想 +$1.43M
<Q4ガイダンス>
売上 $147M (予: $144.8M)
調整後EBITDA $53M (予: $52.3M)
<The Trade Desk ’18 Q2決算> 2018/8/9
EPS $0.60 予想 +$0.16
売上 $112.33M (+54.3% Y/Y) 予想 +$8.31M
競合との比較などについてはまた追記予定。